じっちゃま YouTube Live Memo 2021/1/26 『ロビンフッド族対ヘッジファンドの戦い』

じっちゃま

本記事は、2021/1/26のじっちゃまのYoutube Live『ロビンフッド族対ヘッジファンドの戦い』のメモです。

ロビンフッド族対ヘッジファンドの戦い

1/25にGamestop($GME)に関して、ロビンフッダーと最大級のヘッジファンドの間でバトルがあった(下図)。

Tradingview より

背景

ロビンフッダーは大学生や若いビジネスマンなどの個人投資家が大部分。
投資資金が限られているので、普通株も買うが、個別株のオプションは少額からできるためオプション取引を好んで行う。

ストラテジーとしては『Bullish call option』。
つまり、将来株価が上昇することを見込んでコールオプション(株を買い取る権利)を買うタイプのオプションに特化してトレードする。
『Out of the money』のオプション(コントラクト)にとりわけ人気が集まっている。

オプション取引について

オプションのペイオフ・ダイアグラム

昨日起きた Gamestop を巡る攻防について

ロビンフッダーがGamestopの『out of the money』のコールを寄ってたかって次々と買いあがっていった。

オプションの取引がどのように成立しているかというと、マーケットメーカーと呼ばれる人達(サスケハンナやシタデル)が取引を突き合わせている。
マーケットメーカーはコールオプションが『deep out of the money』の場合、注文に対してすぐに売り向かってよい。
そのコールオプションが『in the money』になる確率は小さいため、売り向かったものに対するヘッジをする必要がない。

しかし、株価が少しずつ上昇してきた場合、だんだんそのコールオプションがストライクプライスに近付いて、やがては『in the money」、つまり儲かり始める。
そうすると、マーケットメーカーは自分が売り向かったポジションをヘッジするために現物買いをする。
ヘッジ比率は、最初はほとんど0%から始まり、25%、50%、100%と上げていかないといけなくなる。

個別株オプションというのは、少ない金額でトレードできるので、そのオプションが『deep out of the money』であればあるほど、少額でたくさんのレバレッジをかけることができる。例えば、レバレッジ比率125倍など。
でも、株価がストライクプライスに近付いていくと、だんだんレバレッジ比率は下がっていく。
つまり、より大きな金額を導入しないと株価を押し上げることはできない。

ロビンフッダーは『Reddit』や『Discord』などのSNSで情報交換をする。
『ウォールストリートベッツ(r/wallstreetbets)』という掲示板があり、そこでみんなが徒党を組み、「Gamestopの株価を吊り上げようぜー!」「次、お前行けよ!」「俺も行く!」という感じで、一つひとつの注文は小さいが、100人も1000人も寄ってたかって買い進んでいけば株価を上げることができる。
価格が上がれば上がるほどマーケットメーカーは、(おっ、ちょっとやばいかもしれないな。ヘッジした方がいいな。)という形でデルタヘッジする必要がある。
だから、マーケットメーカーの現物買いが、さらに自分の首を絞めるという現象が起きる

このように、SNSで個人投資家を集めて、ショート・ターム・オプションを次々に個人投資家に買わせていくことでトレンドを捏造することができる。
特に、個人投資家は、ある証券のバリュエーションを計算するのが得意ではないので、ストーリーだけでトレードする。
バリュエーションを無視した向こう見ずなトレード方法。
そして、このようなトレードが、次々に、数珠つなぎで入ってくる必要がある。
言い換えれば、『フロー(flow)』が重要になる。
『フロー』を生かすために、掲示板の主催者は煽り続ける必要がある。

とりわけ大きな空売りポジションがある銘柄(つまり、べらぼうなバリュエーションになっているとプロが判断して空売りをかけた銘柄)の空売りのポジションをターゲットにして、ショートを担ぐということを『Discord』などのコミュニティでやっている。

Gamestopの場合は、シトロンという空売り筋のマーケットレターの連中が担がれた。
同じく担がれたのは、メルヴィン・キャピタルというヘッジファンドのゲイブ・プロトキンという若手の筋の良いヘッジファンドマネージャー。
過去数年間、毎年+30%ぐらいの成績を出していたトップパフォーミング・ヘッジファンドの一つ。
ゲイブ・プロトキンでさえ、ロビンフッダーに刺されたということで話題になった。
年初来-30%ぐらい、ファンドのパフォーマンスが沈んでいたので、出資者(年金ファンドやファミリーオフィス)がお金を引き上げそうになった。
しかも、トレードでやられているのでマージン・コールにも応えなければならない。
まず、運転資金を安定させないといけないということで、シタデルのケン・グリフィン(個人資産が2兆円ぐらい?全米で10本の指に入るぐらいの大富豪)が出資した。
スティーブン・コーエン(個人資産が1.3兆円ぐらい?全米で30本の指に入るぐらいの大富豪)も出資し、ゲイブ・プロトキンを助けた。

昨日の時点では、ロビンフッダーは勝利宣言をしていた。
広瀬さんは昨日の顛末を見て、(非常に危ないなー)と感じた。
実際、Gamestopの株価は、高値110ドルから60ドルぐらいまで下がっていて、その間にやられた個人投資家もたくさんいるはず。
つまり、痛み分けで、セラーであるゲイブ・プロトキンも痛んだし、バイヤーであるロビンフッダーも痛んだ。

資金量でいえば、最終的には、メルヴィン・キャピタルとかシタデル、スティーブン・コーエンの方が大きい。
だから、個人投資家は、彼らを甘く見るべきではない。おしりをひっぱたかれることになる。

シタデルという会社はどういう会社かというと、われわれはIPOの時に気配が立つのを待っているが、あの時、気配を立てているのがシタデル。
つまり、胴元。
胴元がメルヴィン・キャピタルを救いに行っている。
われわれが胴元に勝てるかというと勝てない。
なので、頭を冷やしてじっくり考えた方が良い。
この手のトレードのゲーミファイもほどほどにした方が良い。

解決を考えない投資というものはない。
株でいえば、ある銘柄を買って2倍になって儲かったら(うれしー!!)となるが、それはぬか喜び。
なぜなら、キャピタルゲインというのは反対売買、つまり売らないと確定することができない。
株を持っている限り、行って来いで下がってきてしまうかもしれない。
昨日のGamestopは、上がった後に下がっているので、ロビンフッダーの勝利とは言えない。

では、なぜ株価は下がるのか。

昔、ゴールドマンサックスにボブ・ムニューシン(トランプ政権のムニューシン財務長官の父)という伝説的なブロックトレーディングの責任者がいて、その人の有名な言葉が「Zero position is the best position.」だった。

素人は勝ってる銘柄を握っている方が得だと考えてしまう。
でも、そうではない。

なぜかと言うと、
オプショナリティ、つまり、次の自分のトレーディング面での身の振り方の自由度が最も高い局面というのは、あなたがキャッシュを握っていて、全くポジションを持っていない状態。
それが一番自由度が高い。

でも、あなたがもし何かの銘柄を買ったら、その瞬間に、あなたの今後取れる行動は、可能性としては2分の1、売りか買い。
もっと言えば、われわれのように投資資金が少ない個人投資家は、一回ロングポジションを抱えたら、次に出来ることは売り以外に選択肢がない。

例えば、テスラは大相場があり、皆が儲かっていて気分が良い。
ここから2倍になるかもしれないと強気でいるかもしれない。
でも、どれだけ強気でいてもあなたが次に起こせるアクションは売りしかない
なぜなら、あなたの資金はテスラにつぎ込まれているから。
あなたが自由になりたければ、テスラを売るしかない。

今、あなたも、あなたの隣人も、みんな儲かっている。
この状態は、将来の『買い圧力』と『売り圧力』のどちらが大きいか
あなたの次に起こせるアクションが売りしかないなら『売り圧力』が大きいのは当然
売りしかないのは、あなたの隣人も同じ。

今、みんなが儲かっていてハッピーであることは良いこと。
だけど、それと同時にわれわれが考えないといけないのは、(自分が一緒に買いあがっている仲間たちを裏切るのはいつだろう?)ということ。
なぜなら、あなたが同胞を裏切らなければ、裏切られるのは逆にあなただから。
次のアクションは売りしかないというオプショナリティの欠如がそういう状況をもたらす。

みんなが儲かってヒートアップしている時は、あなたはクールにならなければならない。
あなたがクールな頭で判断しないと、負けるのはあなただから。
それがトレードというもの。

勉強になったQ&A

$LMTと$NOCはどちらが良いか

宇宙ビジネスの占める割合でいうと、ロッキードマーティン($LMT)は全売上高の18%ぐらいで、ノースロップ・グラマン($NOC)は23%ぐらいで少し多い。
宇宙事業のクオリティの面でも、ノースロップ・グラマンは負けていない。
だから規模ではロッキードマーティンに少し負けているが、やっている内容の付加価値の高さ、難易度の高さでは引けを取らない。

今度ARKが宇宙ETF(ARKX)を出すということで、宇宙関連銘柄を買いたいというのであれば、一番宇宙に関して実のある仕事をしているのはノースロップ・グラマン。

バブル終焉時の傾向

広瀬さんが経験した最も大きなバブルはドットコム・バブル。

なぜバブルが弾ける時に逃げることができたかというと、決算発表を見ていたから。
2000年の第1四半期の決算で、EPS・売上高はちゃんと数字を出せていたが、ガイダンスが低い会社が非常に多かった。
なぜガイダンスが低かったかというと、「設備投資がおかしい」、「顧客の設備投資意欲が落ちている」というコメントを出す企業が相次いだ。
最初は1社、2社が言い出し、やがて10社、50社と広がっていった。

なぜ設備投資が落ちたかというと、それは『2000年問題』があったから。
年号が1999年から2000年に変わるとき、「0が3つ並ぶと、旧式のコンピューターがそれに対応していないからコンピューターが狂うんじゃないか」、「管制塔のコンピューターが狂って飛行機が落ちるんじゃないか」、「電気が止まるんじゃないか」という都市伝説が広まった。

その影響で、2000年になる前に駆け込みでIT機器を最新のものにするという駆け込み需要があった。
設備が新しくなったので、その直後に追加投資する必要がなくなる。
だから、カレンダーが2000年に変わって(飛行機落ちるかな?)と思ったら、飛行機は全然落ちなくて(よかったねー)と思ったら、次の瞬間、新規ビジネスがゼロになっているということが明らかになった。

ドットコム・バブルというのは、実業の景況感、ビジネスの需要の変化によって、バブルに針が刺されたきっかけとなったのはファンダメンタルズ。つまり、業績がきっかけとなった。

今回のバブルがいつ弾けるかはわからないが、『ピーク・デジタル』を心配している。
SaaSとかは新型コロナをきっかけに需要が跳ね上がった。そのうちの多くのものはこの先も高い需要が続く。
だが、PCの購入とかは一過性だと思う。

例えばAmazonの次の決算は良いと思うが、ポイントはそこではなく、その次がどうか
良い決算は、EPS・売上高がコンセンサス予想を上回り、ガイダンス(財務部長の今後の見解)もコンセンサスを上回ることが条件。
ガイダンスがコンセンサス予想を下回れば売り。
今、バブル崩壊から身を守る方法は決算を見ること
決算およびカンファレンスコールが、1番リアルタイムでこの次に何が起こるかということに関する財務部長の見解がわかる。

FXはファンダメンタルズとテクニカルのどちらが重要?

FXの場合は、チャートが重要。

ただ、新興国通貨(トルコリラなど)の場合は、ファンダメンタルズを丁寧に見るようにしている。
そういうのはファンダメンタルズが与える影響は大きいと思う。
しかし、USD/EURやUSD/JPYなどはあんまり関係ないと思う。

中央銀行の金利政策もFXに影響を与えるので、FOMCには注意が必要。

SPACについて

IPOできる企業はさっさとIPOする。
だけど、IPOできないグループ、第2グループの企業がSPACで裏口上場する。
だから、そもそもSPACというグループは、訳アリ、傷アリ、事情アリの理由でIPOできない企業だということを肝に銘じないといけない。

加えて、通常、SPACがターゲットになる未公開企業と合併する場合、小が大を飲む形で、SPACの時価総額(運用資産)の4倍~5倍ぐらいのターゲット企業を取りに行く。

SPAC上場したがまだターゲットを発表していない、キャッシュのままのSPACが1,020億ドルぐらいある。
そうすると、そのSPACが全部ターゲット企業を買収するとなると、その4倍~5倍のターゲットがなければないといけない。
4,080億ドル~5,100億ドルというスケールの話をしている。
そんなにたくさん良い企業が未公開のままで残っているわけがない。

イス取りゲームのようなもの。
今は音楽が流れていて、音楽が止まるとみんなスッと座る。
そういった形で、1人ずつ結婚していく、ドラフトキングス($DKNG)やローズタウン・モーターズ($RIDE)のように。
後になればなるほど、クソみたいな銘柄しか残っていない。
だから、すでに結婚して、ティッカーシンボルが変わっている銘柄は、比較的筋の良い企業もある。DKNGやRIDEのように。
だけど、残り物に福はない。

SPACというゲームはどこかで終わる。
そして、それが終わるときには、悲惨な終わり方をすると思う。

投資資金の小さい個人投資家が自分でも買えるからSPAC買うというのは、よく考えれば、それはテメーの都合であって、ベストの理由ではない。
ベストな買い方というのは、プリマドンナのような最高にイケてる銘柄を無理して買うこと。

IPO売出し目論見書の確認方法

「SEC Edgar」で検索する(このページをブックマークしておくとよい)。

このページで銘柄名またはティッカーシンボルを検索する。
そうすると、資料がたくさん出てくる。

資金調達をやっている場合、1番左の『Filings』の列から「424B4」を探し、そのドキュメントを開くとProspectus(IPO売出し目論見書)を確認できる。

それ以外に注目しているのは、「S-1」。IPOの時の最初の申請書類でProspectusに似ているが、価格や株数がブランクになっている。
他には、「10-K」(年次報告書)も重要。

ドットコム・バブル崩壊時に、次にどんな銘柄を買った?

2020/12/18の楽天証券オンラインセミナーで紹介した銘柄(BMY, ANTM, LHX, VALE, SBLK)は、全部オールドエコノミーの銘柄を紹介した。
それは、先々のことを考えて、いつかバブルが弾けてもいいような銘柄を1年先を展望して紹介した。

ドットコム・バブル崩壊の時は、ちょっと変だなーという兆候が見え始めたのは99年頃。
今のGamestopのような変な銘柄が、バンバン上がっていた。
でも、ふと横を見ると、ノースロップ・グラマンのような地味な銘柄がひたひたと上がってきていた。

相場の流れが変わるとき、主役が変わるとき、次のリーダーシップの銘柄群は、今の主役が阿波踊りを踊っている、バブルに舞っている中でも、すでにスタートを切って助走し始めている。

広瀬さんが話題にする銘柄は、半分ぐらいがハイテク株とかだが、残りの半分はオールドエコノミー。
それは、広瀬さんの中ではヘッジをしているから。
次にスッと行けるように。

だから、『バリュー株投資』『アセットアロケーション』『分散投資』の勉強をするべき。
例えば、VTIのようなETFの勉強をすべき。
チャラチャラしたロビンフッド銘柄だけが投資じゃない。
そういう個人投資家は、蚊取り線香の煙を吸った蚊のように死んでいく。

バイデン銘柄のクリーンエネルギーETFが売りの理由は?

予算が通らないから。
アメリカでインフラストラクチャー法案、クリーンエネルギー法案通す時には、上院で60票の賛成が必要になる。
今、民主党は上院の51票しかコントロールしていないので60票はとれない。

100歩譲って、『reconciliatioin』と呼ばれる合意の仕方(会計調整と言われる)もあるが、これには限界がある。
『reconciliation』とは、予算を通さないことには国の運営ができなくなってしまうから妥協しましょうというもの。
そういう例外措置を使えば、51票で法案を通せる。

『Reconciliation』を使った場合、その法案は5年間の時限措置となる。
また、『reconciliation』は1年に1回しか使えない。

アメリカでは毎年毎年、国家予算を法案化し提出し、それを下院が承認し、上院に回して、上院で可決しなければならない。
予算には60票の賛成が必要なため、予算を通すために『reconciliation』を使ってしまえば、クリーンエネルギー法案に『reconciliation』は使えない。

バイデンが何を言おうが、民主党が下院と上院で過半数を占めていようが、上院で60票確保できないなら、インフラストラクチャー法案もクリーンエネルギー法案もうまくいくかどうかわからない

今、クリーンエネルギー関連銘柄を買っているのは、こういう細かい議論を無視したロビンフッダー。
出口を考えない投資というのはない。解決を考えない相場というのはない。

清水一行という作家の『買占め』という小説は、株関係者にとって、目から鱗、とても知見に富んだ本。
この本の中に、”解決を考えない投資方法ってあるんだろうか”という主人公のセリフがある。
この本はとても良い本なので、必ず読んだ方が良い

じっちゃまがチャットSNSで注目しているもの

Yalla Group ($YALA)はUAEに本社を置く企業。
アラビア語圏のボイスチャットアプリを展開。
オンラインゲームも展開している。

Yallaについては、以下のサイトでわかりやすく紹介されていました。
東洋経済online 『中国発の「中東向け社交アプリ」が株式公開へ』

Hawaiian Holdings ($HA)について

子会社にHawaiian Airlines(ハワイアン航空)。リア充銘柄。
いつか紹介しようと思っていた。

ハワイという土地は、アメリカ本土からも遠いし、日本からも遠い、どこからも遠い。
車でハワイに行くわけにはいかないから、ハワイはCovid-19の影響で旅行の落ち込みのインパクトが大きかった。
だから、ハワイアン航空もとりわけ株価が低迷している銘柄の1つ。
次の決算発表でカンファレンスコールを聴いてみたい。

ブルーム・エナジー ($BE) について

ブルーム・エナジーは燃料電池の銘柄。
他の二コラ($NKLA)やプラグ・パワー($PLUG)などとの違いは、Appleやグーグルなどのデータセンター向けのバックアップ電源としての燃料電池を提供していること。

採算性云々でいえば、二コラやプラグ・パワーのFCVが経済性の面で成功するかは未知数
ブルーム・エナジーのデータセンター向けバックアップ電源というのは、経済性が問題ではなく、データセンターが停電を避けるための電源なので、すでにリアルなビジネスが展開されている
顧客はたくさんいるし、グーグルやAppleというお金持ちの顧客がいるので、少しストーリーが違う