じっちゃま楽天オンラインセミナーmemo 2020/12/18

じっちゃま

この記事は、楽天証券主催の『【ライブ配信】広瀬隆雄氏オンラインセミナー(12月18日開催)』を基に作成しています。

2021年の予想と投資戦略

2021年はS&P500全体の成長率が年間で3%程度と予想している。

FRBは利上げもしないし、量的緩和政策も変更しない。

例年、12月と1月はアメリカ株式市場のパフォーマンスが良いのでフルインベストメントする。
2021年は2回の下落局面を予想。1回目は2月、2回目は8月~10月
下落局面はあるものの、そういった場面でも、ある程度は投資を継続すべき。

長期金利は一本調子に上昇するのではなく、感染者数増加により足元の景気が悪いため、まずは下落すると考えられる。
目標は0.50%(12/18現在の米国10年債利回りは、0.943%)。

2020年春、コロナ需要で活躍したウォルマート($WMT)、クローガー($KR)、ダラーゼネラル($DG)は、2021年3月~4月ごろに苦境に立つことになる。(前年比較が厳しくなるため)

コロナワクチンが一般市民に回ってくるのは2021年5月ごろと言われているため、旅行・レジャー関連、市況株は1月~3月に苦境に立つ。

年末年始のトレーディング戦略

タックスロスセリング・1月効果

12月と1月は例年相場が良い。

12月に入ると毎年タックスロスセリングが行われ、そのピークは12月15日ごろ。
タックスロスセリングとは、その年、利益確定した投資家が、税金を減らすために、含み損を抱えている銘柄を損切りし、利益と損失を相殺すること。
タックスロスセリングの対象となる銘柄は、その年にIPOされたような比較的若い、小型の銘柄で、1年間のパフォーマンスが悪かった銘柄。
そういった銘柄が、12月に更にたたき売りされる。そして、クリスマス明けから買い戻す動きが出てくる。
「1月効果」とは、タックスロスセリングの対象となった銘柄が買い戻され、面白いように上昇する現象のこと。
今年も例年通り、1月効果が起きると予想している。

12月18日の大引けを以て、S&P500の構成銘柄が入れ替わり、新たにテスラ($TSLA)が組み入れられる。
テスラは時価総額が大きいため、テスラが入ると他の銘柄を少し売って、ポートフォリオの調整をしないといけない。
インデックスファンドがその調整をするのが今日(12/18)の大引け。
そのため、投資家は他の大型株(GAFAM)を買うのを躊躇していた。
GAFAMは来週の火曜からは買っていってよいと考えている。(月曜は構成銘柄が変わった直後のため様子見)
GAFAMはしばらく横ばいだったため、割安感が強いと考えている。

景気

雇用・失業率

非農業部門雇用者数は予想よりも悪かった
第3波の影響でレストランやブティックをもう一度閉めないといけないという動きが出ており、雇用者数の伸びが低くなっている。
今年の2月~3月にコロナがひどくなるとわかり、外出禁止令が出て、4月の非農業部門雇用者数は大きく落ち込んだ。
その時は今年の年末になっても失業率が10%を下回らないのではないかと予想されたが、実際には、5月以降毎月プラスで、非常に良いペースで雇用が回復した
ただし、この1か月程度は第3波の影響で回復ペースが減速している。

失業率は現在6.7%。一時的に14%以上まで高まったが、その後とても良いペースで雇用が戻ってきた。
前回アメリカが不況になったのは、2008年のリーマンショックの時で、失業率が4.5%から10%ぐらいまで急に上昇したが、その後じりじりと失業率は低下した。
前回は失業率が6.7%まで回復するのに4年かかったが、今回はわずか半年
つまり、失業率の回復ペースは今回の方がはるかに早い

FFレート・量的緩和政策

FFレート

FRBは先日のFOMCでFFレートを0~0.25%で維持すると発表した。

FRBが前回ゼロ金利にしたのはリーマンショック後の2008年で、利上げを開始したのは2015年12月ごろ。
その後、約4年で今回のダウンサイクルが来た。
つまり、2008年~2015年は金融相場、2015年12月~2020年2月は業績相場。
金融相場が7年続いたあと、業績相場が4年続くというサイクルになった。

では、今回はいつ利上げが始まるのか。
パウエル議長は、インフレ懸念が全然ないため、今回も当分の間はゼロ金利を維持できると答弁していた。
つまり、金融相場がしばらく続くと考えるのが自然。

FRBはゼロ金利政策のほかに、量的緩和政策も実施している。
具体的には、米国財務省証券(米国債)を毎月800億ドル、住宅抵当証券を毎月400億ドル買い入れしている。
中央銀行が市中から債券を買い取り、それと引き換えにキャッシュを市中に供給している(買いオペ)。

現在、FRBの債権の在庫(連邦準備制度の総資産)が積みあがっており、7兆ドルに達している。
日本銀行もECB(欧州中央銀行)もFRBと同じ事をしており、先進国の中央銀行の債券類の在庫を足し合わせると約25兆ドルになる。
リーマンショック前の在庫は約4兆ドルだったため、世界の中央銀行から約20兆ドルの現金が市場にばらまかれている。
つまり、マーケットはキャッシュでじゃぶじゃぶのため、そのマネーが株式市場に流れ込み、株高が起きやすい環境が意図的に作られている。

量的緩和政策

先日のFOMCで新しく発表されたことは、量的緩和政策についても、今年の9月に手直しが発表された政策決定フレームワークと同様の考え方をしているということ。

9月に発表された新しいフレームワークでは、インフレ率2%をターゲットにすることに変更はないが、インフレ率が高くなり始めてもFRBは何もしないし、ターゲットの2%に到達しても何もしない。
そして、長期で見た場合、インフレ率がターゲットの2%付近で、2%を超えたり、下回ったり、また超えたりを繰り返し、全体を見て平均が2%ぐらいに収まっていれば良しとするという考え方。

これまでのFRBの方針は、インフレ率が2%に向けてだんだん上がってくると先回りして金利の引き上げをし、インフレ率が2%を超えないようにしていた。

この新しい政策決定フレームワークの発表は、投資家に対して利上げの心配をしなくてよいというメッセージ。
ここまでが9月の発表で、FFレートについてしか言及されていなかった。
今回、新たに発表されたのは、量的緩和政策もFFレートと同様の手綱さばきをするというもの。
つまり、量的緩和政策も当分続くということ。

2013年、当時のFRB議長であったベン・バーナンキ議長が米国債購入ペースの減速(テーパリング)に踏み切った時、国際金融市場がぎくしゃくする『テーパー・タントラム』が起きた。

パウエル議長はその時の経験を踏まえ、今回利上げをする場合には、それよりもずっと前から、「将来の利上げについて考え出した」というサインを出すので心配ないと答弁していた。
今は利上げのことすら考えていないとのこと。

消費者物価指数を2%に固定することを米国議会下院が努力目標としてFRBに課している。

景気が物価に反映されるまで、3か月から6か月ほどのタイムラグがある。
そのため、かつては、そのタイムラグを考慮し、物価が2%になる前に早めに政策金利を引き上げするのが、保守的で賢い中央銀行家のマネージメントという美意識があった。

しかし、この考え方が9月の政策決定フレームワークで否定された。
今は、物価はすぐに上がるものではないから、利上げはあせらずに、ゆっくり様子を見ながら、徐々にしていけばいいという考え方。
つまり、株式をめぐる環境、金利環境は良いということ。

ちなみに、インフレが良くないことと捉えられがちだが、デフレもそれと同じぐらい良くないこと。
もし物価が低すぎれば(0%に限りなく近いもしくは0%以下の場合)、それはデフレである。
デフレになると経営者は正規雇用を減らし、非正規雇用を増やす。あるいは、非正規雇用の派遣切りをする。
物価が0%~1%の場合、経営者の行動は慎重になり、設備投資や新規採用を見送るようになる。
物価が2%ぐらいになると、景気が良いので、設備投資等が活発になる。
だから、米国議会が2%を要求している。

企業業績

株式のバリュエーションで1番大事なのは金利。
金利が7で業績が3ぐらいの割合で、地政学リスクは0もしくは1以下。
金利業績だけを見ていれば、株式投資はほとんど問題ない。

S&P500の利益のコンセンサス予想は、今年が139.22で来年が169.2。
現在のS&P500指数を169.2で割ると、PERは22倍で割高だが、めちゃくちゃ割高というわけではない。
日本のバブルの時は、PERが40倍以上だった。
過去5年間のS&P500のPERの平均は17倍。

S&P500のEPSコンセンサス予想を四半期ベースでみると、2020年のQ3は39.39、Q4は37.17。
次の四半期にかけてQ/Qでダウンし、それ以降は右肩上がりで上昇する予想になっている。

アメリカの10年債利回りの金利は0.94と低く、今後さらに下がる可能性もある。
金利と株式のバリュエーションはシーソーの関係
金利が低いということは、株式が多少割高で買っても良いということ。
S&P500 のPER22倍が割高かというと、金利が低いので割高ではない。

参考銘柄

ブリストルマイヤーズスクイブ($BMY)

  • 製薬会社
  • 主力商品のエリキュース(去年年間売上高:79億ドル)、オプジーボ(去年年間売上高:72億ドル)
  • パテントはしばらく続くため収入は安定
  • 新たにマイオカルディアを買収したことで長期の成長ロードマップを入手
  • EPSのコンセンサス予想:今年 $6.38 / 来年 $7.46 (成長率16.9%)
  • 来年の予想EPSに基づいたPERは8.4倍

アンセム($ANTM)

  • 民間健康保険会社
  • 全米で1億人の加入者を抱えるブルークロス・ブルーシールドブランドのフランチャイジーの1つ
  • アンセムの加入者数は4,100万人でその中で最大
  • バイデン政権誕生によりACA廃止のリスクがなくなったのは追い風
  • EPSのコンセンサス予想:今年 $22.44 / 来年 $25.35 (成長率13%)
  • 来年の予想EPSに基づいたPERは12.4倍

エルスリーハリス($LHX)

  • 防衛関連企業
  • 野戦電話、偵察監視システムなどの電子機器
  • アメリカの防衛予算は年間2%ぐらいしか成長していない
  • その中でLHXの製品は10%、15%と急成長している分野に属する
  • EPSのコンセンサス予想:今年 $11.56 / 来年 $13.08 (成長率13.1%)
  • 来年の予想EPSに基づいたPERは14.2倍

ヴァーレ($VALE)

  • ブラジルの鉄鉱石生産会社で鉄鉱石、ニッケルの生産高が世界最大
  • 高品質な鉄鉱石はブラジルかオーストラリアでしか採れない
  • 主な顧客は中国で、50%以上が中国で消費される
  • 自動車やビル建設に使われており、中国経済に直接リンクしている
  • 今、鉄鉱石の引き合いは非常に高水準
  • 過去に2回ダムが決壊し環境を壊したため投資家から嫌われているが、すでにその補償の支払は完了している
  • EPSのコンセンサス予想:今年 $1.79 / 来年 $2.58 (成長率44%)
  • 来年の予想EPSに基づいたPERは6.7倍

スターバルク($SBLK)

  • アメリカで買えるばら積み船銘柄の中では最大級
  • 大型のばら積み船を中心に運行しており、鉄鉱石や石炭を運んでいる
  • ばら積み船の中ではバランスシートは健全
  • 設備投資がしっかり行えるため若い船が中心のポートフォリオを組めている
  • 環境保全対策(スクラバー搭載)をいち早く実施し、未対応の船は2/116隻だけ(その2隻も対応中)
  • 常に業界平均を下回る運航コスト
  • 安全運航面で独立コンサルタントから業界で最高評価をもらっている
  • EPSのコンセンサス予想:今年 $0.09 / 来年 $1.39(成長率1,355%)
  • 来年の予想EPSに基づいたPERは6.1倍

質疑応答

ロケット・カンパニー($RKT)について

目先は強気。理由は2つ。

1.住宅市場が今活発になっている。テレワークが導入されたことで、都心の狭い家よりも、郊外の広い家や暖かい場所に住みたいという需要が強い。

2.今、長期金利が歴史的に低い水準で、30年の固定金利レートが安い。そのため、今借り換えた方がよいというブームが起きている。だからRKTの足元の業績も良い。コンセンサス予想では、今年のEPSが$3.45でPERは6.7倍。

ブリストルマイヤーズスクイブの株価が動いていないのはなぜ?

これはブリストルだけでなく、製薬全体に言えること。多くの銘柄が割安で放置されている。
大きな理由として、トランプが薬価を下げるよう圧力をかけていたことが関係しているのではないかと考えられる。

ギリアドサイエンシズ($GILD)が低迷している理由は?

理由は簡単で、COVIDで病院が大変なことになっており、他の病気が後回しになっているから。
GILDの主力はHIV治療薬だが、そのために病院に行けるような状況ではない。
来年の後半には集団免疫ができ、普通の生活に戻れるかもしれない。そうすれば、ギリアドの売上も回復してくる。これは他の製薬会社にも言えること。

また、病院側も経営が苦しい。一番儲かるのは整形手術(外科手術)だが、そういうのができない状況が続いている。

ロイヤルティファーマ($RPRX)について

RPRX については全然心配していない。
コンセンサス予想は今年のEPSが$2.41、来年のEPSが$2.70で、PERは15倍。
売上高は毎年9%ぐらいで成長していく、EPSは長期でならすと12~13%程度でコンスタントに成長していく。成長の仕方は地味。
パテントは15種類で、1つの医薬品に依存することはない。幅広いポートフォリオに依存している。
絶えず新しいロイヤルティを買収し、パテント切れに備えているため、どこかの段階で売上が落ちる可能性は非常に低い。
とても良い銘柄。

VALEについて

石油株・銅株($FCX)・鉄鉱石株($RIO, $VALE)には大きな違いがある。
石油は原油価格が少しでも上昇するとすぐにシェールが増産されるので供給が増える。
しかし、銅や鉄鉱石はそういったことはない。
新しい銅山はほとんど見つかっていないし、高品質で大きなスケールの鉄鉱山もほとんど見つかっていない。
しかも、増産しようとすると、マイニングプラン(どういう風に露天掘りのしかたを変更してたくさん採るか)というのは、途中から簡単に変更できない。
フリーポートマクマラン($FCX)がグラスバーグの銅山・金山の掘りかたを変更すると発表してから、実際にそれが実行に移されるまでに5年ほどかかっている。
つまり、発表してから需給関係が悪化するまでにタイムラグがある。

銅・鉄鉱石の上昇サイクルはまだ始まったばかり。野球でいえば、1回裏か2回表ぐらい。長い間遊べる。

新興国投資について

2021年は若干のドル安を予想している。理由は2つ。
1つは、FRBがしばらく利上げしないというメッセージをはっきりと出していること。
もう1つは、”好景気のドル安”が2021年後半に起きると考えていること。

好景気のドル安とは、景気が良くなり消費も輸入も好調で、国際収支が大きく赤字に傾く。そして、景気が良くなりインフレ圧力も少し高まるが、FRBは動かないという状況。
これは好景気のドル安になる環境要因。

ほんのりドル安っぽいと機関投資家が考えると、より有利な投資先を目指して、アメリカ国内の投資資金が海外に出ていく。
実際に、ここ1ヶ月ぐらいのアメリカから新興国への投資は非常に強かった。
今、アメリカの機関投資家は空前のペースでお金を外に出している。
外の方が魅力的だから。バリュエーションも安く、利回りも高い。
だから、新興国の債券も良いし、株式も良い。

2021年の投資テーマの1つはグローバル投資である。
銘柄としては、ポーランドETF:EPOL/メキシコETF:EWW/韓国ETF:EWYあたりが良い。

ROOT($ROOT)について

タックスロスセリングの対象となっている銘柄。
今年IPOされた銘柄の中で、比較的大きなIPO(主幹事はGSとMS)で、1番ぼこぼこに売られた銘柄。

自動車保険の会社でアプリを通じて自動車保険のマーケティングをする。
加えて、アプリでiPhone のセンサーなどを使い、安全運転しているかもモニターする新しいタイプの自動車保険会社。
ドライブ中のスマホいじりなどの不注意運転を検知することができる。

自動車保険のマーケットは、年間の保険料収入が2,000億ドルぐらい巨大市場。
金融セクター(投資銀行、クレジットカードなど)の中でも保険というカテゴリーはバカでかいカテゴリー、とりわけ自動車保険はバカでかい。

アメリカでは自動車保険に加入していないと新車を買えない。
自動車保険というのは、全員のドライバーが必ず入っている。だから魅力がある。

アメリカの自動車保険でガリバー的な存在はガイコー(GEICO)。
ガイコーはバークシャー・ハサウェイ($BRK.B)の中核事業。
ウォーレン・バフェットの魔法のようなパフォーマンスは、アトリビューションアナリシスをすると、ほとんどガイコーによって叩き出されたという論文がある。

保険事業にはフロートというものがある。
保険加入者から交通事故に払い出すためのお金を集めるが、支払いが発生するまではその資金で遊ぶことができる。それがフロート。
バフェットはフロートを使って投資をしているので、ナチュラルにレバレッジがかかっている。
アメリカの自動車保険はビッグカテゴリーで、バフェットのような投資家が誕生したのは、自動車保険という構造的にアトラクティブであったことが背景にある。

これまでの自動車保険の料率は、年齢や人種、性別、車の種類によって決められていた。
これに対し、ROOTはAIでドライバーの行動をモニターし料率を決めることで、ドライバーそれぞれに対してよいプランを提案している。

ROOTが売られた理由には、保険の決算が複雑であるため、理解できない投資家に売られたというのがあるのではないか。
ROOTの場合、加入者からお金を預かりポリシーをイシューすると、再保険(リインシュアランス)という形でそれを転売する。
リインシュアランスでポートフォリオをヘッジすると、見かけ上売上高などが小さく見える。
前回の決算は、予想よりも売上高は高く、事故率は低かったため、悪い決算ではなかった。
年末のタックスロスセリングが終われば、1月効果で真っ先に見直されるであろう銘柄。

インフレについてよくわからなかったという人は、、、

今回のセミナーでは、インフレや利上げ、量的緩和などの話が出てきました。
これについてよくわからなかったという人は、以下の書籍を読むとよいでしょう。

MMT(現代貨幣理論)について、とてもわかりやすく説明されているためおすすめです。
MMTとインフレは切っても切れない関係なので、そのあたりの知識が身に付きます。

『財政赤字の神話 MMTと国民のための経済の誕生』

著者:ステファニー・ケルトン
出版社:早川書房

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この書籍は、過去にじっちゃまがおすすめしていた本です。