【S-1】コーセラ($COUR)

企業分析・業界分析

2021/3/5にSECに提出されたコーセラのS-1をチェックしていきます。

コーセラは国際的なオンライン学習のプラットフォームを運営している会社です。
2020年12月31日時点で、7,700万人以上の受講者がコーセラに登録し、200以上の大学等から、無料のコースから卒業証書を取得できるコースまで、何千種類もの授業を受けています。

世界の高等教育市場は大きく成長しており、現在は2.2兆ドル規模と言われています。
世界のオンライン学習市場は現在360億ドルで2025年には740億ドルに成長すると予想されています。

コーセラのビジネスは3つのセグメントに分かれています。

1つ目は、Consumer。
これは、スキルを身につけたい人や資格を取得したい人がプラットフォーム上のオンラインプログラムを受講することにより収益が得られるビジネスです。
料金形態は、サブスクのものや売り切りのものがあります。

2つ目は、Enterprise。
これは、大学や企業などが、学生や従業員の教育のために、オンライン学習を導入することで収益が得られるビジネスです。
料金形態はサブスクリプションです。

3つ目は、Degrees。
これは、世界中の大学と提携し、オンラインで学士号や修士号を取得できるサービスを提供しています。
大学が受け入れた学生の授業料の一部を収益として得ています。

興味のある方は、詳細について記載していますので、ここから先をご覧ください。

  1. 連結業績
    1. 業績(GAAP)
    2. Non-GAAP財務指標
      1. 調整EBITDA
      2. フリーキャッシュフロー
    3. KPI
      1. 累計登録受講者数
      2. 学位取得者数
      3. 有料大企業顧客数&Net Retention Rate(NRR)
      4. セグメント別売上高
  2. リスク因子
  3. コーセラのビジネスについて
    1. 概要
    2. 業界の背景:生涯学習の新しいモデルへの需要
      1. テクノロジー主導の自動化・グローバル化がスキルや生涯学習への需要を加速
      2. 現在のシステムの欠点
      3. 学習の未来
    3. ビジネスモデル
      1. Consumer
      2. Enterprise
      3. Degrees
    4. ソリューション:世界レベルの学習を届ける大規模なプラットフォーム
      1. 高品質なコンテンツと資格のカタログ
      2. 最先端の大学や産業界のパートナーが開発したコンテンツ
      3. パーソナライズされた学習体験を大規模に提供するテクノロジー
    5. コーセラの強み
      1. 大規模な学習者に基づく信頼されるブランド
      2. 消費者の”Flywheel”(=弾み車)が生み出す価格対コストの優位性
      3. モジュラー方式で積み重ね可能なコンテンツと資格のブランディングされたカタログ
      4. 最先端の大学や産業界のパートナーとのネットワーク
      5. 職に関連した、実践的なプロジェクトおよび業界資格
      6. マルチ‐チャネルのEnterpriseモデル
      7. 豊富なデータ分析とスキル分析
    6. 機会:世界の教育市場は規模が大きく、成長中である
    7. 成長戦略
    8. 競合
      1. D2Cのオンライン教育
      2. 企業研修会社
      3. 無料学習教材の提供者
      4. 国際オンライン学位プラットフォーム
  4. 幹事

連結業績

業績(GAAP)

千ドル(EPS除く)20192020変化率
売上高184,411293,511+59%
粗利94,822154,665+63%
グロスマージン51%53%
営業損失(48,394)(66,583)
純損失(46,719)(66,815)
EPS(0.62)
出典:コーセラ S-1

Non-GAAP財務指標

調整EBITDA

千ドル2017201820192020
売上高95,630141,772184,411293,511
調整EBITDA(37,559)(20,988)(26,929)(39,813)
調整EBITDAマージン(39) %(15) %(15) %(14) %
出典:コーセラ S-1

フリーキャッシュフロー

千ドル2017201820192020
営業キャッシュフロー(29,694)456(21,334)(14,991)
フリーキャッシュフロー(33,630)(6,219)(31,266)(26,909)
出典:コーセラ S-1

KPI

累計登録受講者数

出典:コーセラ S-1

学位取得者数

出典:コーセラ S-1

有料大企業顧客数&Net Retention Rate(NRR)

20192020
有料大企業顧客数240387
NRR106%114%
出典:コーセラ S-1

セグメント別売上高

出典:コーセラ S-1
千ドル2017201820192020
Consumer:売上高85,667107,554121,011192,909
Consumer:粗利(マージン)43,076
(50%)
57,607
(54%)
64,645
(53%)
106,509
(55%)
Enterprise:売上高7,42226,81248,26270,784
Enterprise:粗利(マージン)4,717
(64%)
19,011
(71%)
34,184
(71%)
48,972
(69%)
Degrees:売上高2,5417,40615,13829,818
Degrees:粗利(マージン)2,541
(100%)
7,406
(100%)
15,138
(100%)
29,818
(100%)
出典:コーセラ S-1

リスク因子

  • 四半期および通期の売上高、業績のブレにより、株価の変動、投資価値の低下が起きる可能性
  • 最近の急速な成長は将来の成長を示すものではないし、売上高成長率は前年比較で低下していくことが予想される
  • 歴史が浅い企業のため、将来の財務や営業成績を予想することが難しい
  • 設立以来、純損失を計上してきており、予測可能な将来もそれが継続すること
  • COVID-19パンデミックの影響で、ビジネスや重要指標、業績がブレやすくなったり予測できなくなること
  • オンライン学習ソリューションの導入は比較的新しく、会社の期待通りに成長しない可能性があること
  • コーセラのプラットフォームで提供しているコンテンツや資格プログラムの契約条件(価格設定モデルなど)を変更する必要が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があること
  • 大学や企業との提携の維持や拡大に失敗することがあれば、コーセラのビジネスと売上の成長が厳しくなること
  • 教育側パートナーとの契約条件(価格設定や契約期間など)を変更する必要が生じた場合、ビジネスや財務状況、業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があること
  • 財務パフォーマンスは学習者の獲得や維持に大きく依存しているため、それができなかった場合、ビジネスや業績は苦しくなる可能性がある
  • 学習者の無料プランから有料プランへの移行が進まなかった場合、ビジネスや業績に悪影響を与える可能性がある
  • うまくいかないパートナーとの提携ばかりを行えば、より収益性の高い機会を見送る可能性があり、業績や成長に悪影響が出る可能性がある
  • 新しいサービスやプログラムを出すために、テクノロジーやコンテンツの開発に多額の費用を要するが、新しいサービスからコストを相殺するだけの十分な収益が得られない可能性がある
  • セールス&マーケの能力を効果的に拡大できない場合、顧客基盤の拡大やプラットフォームの展開が難しくなる可能性がある
  • 新規および既存パートナーのニーズを満たすために迅速かつ効率的に事業を拡大できなければ、評判と収益が低下する
  • 急速に変化する技術、進化する業界標準、変化する顧客のニーズや要求に効果的に適応・対応できない場合、プラットフォームの競争力が低下する可能性がある
  • Enterpriseサービスの売上が伸びなかった場合、または価格や契約期間の等の契約条件に変更の必要が生じた場合、ビジネス、財務状況、業績に悪影響を及ぼす可能性がある
  • パートナーからの質の高いコンテンツを維持できなければ、顧客の引き込み、維持ができなくなる
  • ビジネスの規模と複雑さの両方における成長を管理できなかった場合、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性がある
  • 成熟企業や新興企業との競争に直面しており、パートナーが競合他社に移ったり、価格プレッシャーがかかったり、市場シェアに影響を与えたり、収益が大幅に減少する可能性がある
  • 他のオンライン教育を提供している営利高等教育機関の業績が悪化すれば、オンライン教育全体の評判が低下し、コーセラのビジネスの成長が損なわれる可能性がある
  • 他の企業や技術を買収する可能性があり、これが経営陣の注意をそらし、株主にさらなる希薄化をもたらすことになったり、他には、業務を混乱させ、業績が悪化することになる可能性がある
  • 未公開企業に投資することがあるが、その投資価値が低下した場合、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性がある
  • コーセラの取締役がコーセラや他の彼らが関与する事業体に関係する利益相反に遭遇する可能性
  • 上級マネジメントチームや重要な従業員を維持できなければ、会社の成長の維持や事業目標の達成ができなくなる可能性がある
  • 事業目標を追求するために、将来的に追加資本が必要になる可能性がある。追加の資本が、有利な条件で得られない、または全く得られない場合は、事業を成長させられなくなる可能性がある
  • 成長に焦点を当てることが企業の長期的な価値を高めると考えているが、短期的には業績にマイナスの影響を与える可能性がある
  • 現在、国際的な規模でビジネスをしており、今後も拡大していく予定だが、これにより国際的な事業特有のリスクにさらされる
  • 自然災害や公衆衛生上の危機、政治的危機、その他壊滅的な出来事により業績が悪影響を受ける可能性がある
  • 業績評価の指標やマーケット予測は測定が難しく、これらが不正確だった場合、評判を損ない、業績に悪影響を及ぼす可能性がある

コーセラのビジネスについて

概要

コーセラは全ての人が学びを通じて人生を変えることができるように、世界レベルの学習にどこにいても誰でもアクセスできるようにすることを使命としています。

コーセラのプラットフォームは、ハイレベルな教育のデジタル・トランスフォーメーションを可能にし、世界中のあらゆる場所に、質が高くて手ごろな価格の教育を届けます。

コーセラのプラットフォームは世界中の講師・受講者・教育機関を繋げるエコシステムとなっています。
2020年12月31日時点で、7,700万人以上の受講者がコーセラに登録し、200以上の大学等から、無料のコースから卒業証書を取得できるコースまで、何千種類もの授業を受けています。
コーセラの受講者は、自分の雇用主や大学、政府支援のプログラムを通じて、自宅で授業を受けられます。
2020年12月31日時点で、2,000以上の組織がコーセラのビジネスカスタマープランに課金しており、4,000以上の大学がコロナ期間中にキャンパスプランを通じて無料プログラムを提供しており、300以上の政府関連機関がガバメントプランを通じて市民に資格習得プログラムを提供しています。

出典:コーセラ S-1

テクノロジーの進歩は、世界の人々の適応能力や新しいスキルの習得能力を上回るスピードで進んでおり、その結果、スキル格差が大きく拡大しています。
デジタル・エコノミーにおいて生産性の高い労働力となるために、多くの意欲的なプロフェッショナルがテクノロジーや情報に基づく解析に関する高度なスキルを必要としています。

コーセラは、学習者が質が高くて職に関連した、種類が豊富で実践的なオンライン学習を手頃な価格(多くは無料)で、見つけて受講することを簡単にします。
トップブランド・パートナーから提供される無料コンテンツのおかげで、コーセラは超低コストで7,700万人以上の個人受講者を引き入れ、世界規模の消費者ブランドを築くことができました。
また、データ・ドリブンなマーケティングにより、効率よく受講者に幅広い有料コンテンツを提供すること(アップ・セル)を可能にします。

世界の高等教育市場は大きく成長しており、現在は2.2兆ドル規模と言われています。

コーセラのビジネスは2011年に設立して以来、急速に成長してきました。
2019年通期の売上高は1.84億ドルで、2020年通期の売上高は+59%成長の2.94億ドルでした。
コーセラはビジネスへの投資を継続しており、2019年と2020年の純損失はそれぞれ4,670万ドルと6,680万ドルでした。

業界の背景:生涯学習の新しいモデルへの需要

テクノロジー主導の自動化・グローバル化がスキルや生涯学習への需要を加速

世界経済は急激に変化しています。国際労働機関のデータに基づいたコーセラの予想では、2030年までに世界の労働力は2.3億人にまで成長します。
一方で、国際教育委員会によると、2030年までに現在の仕事の半分に当たる約20億の仕事が、自動化などにより消滅する危険性が高いと予想されています。

COVID-19はオンライン学習による生涯学習へのニーズを加速しました。2020年10月の世界経済フォーラムでは、自動化とパンデミックの2つの要因により、2025年までに8,500万もの仕事が自動化に取って代わられると予想されました。

現在のシステムの欠点

現在の高等教育システムは、本質的な課題に直面しています。
教室を中心としたモデルでは、今日の労働力として成功するために必要なスキルの急速な変化には対応対面式の学習では、遠隔地の学習者や国内外で教育やスキルアップを必要としている学習者のニーズには応えることができない可能性があります。
そして、教育にかかる費用は大幅に増加しています。
ニューヨーク連銀によると、アメリカの学生ローン債務は2020年9月30日時点で1.55兆ドルとなっており、家計負債の中で2番目に大きな要素になっています。
これはキャリアを始める人、一人暮らしを始める人にとっては大きな負担となっています。

学習の未来

テクノロジーは職や労働市場を引き続き破壊していきますが、一方でとても大きな利益も生み出します。
テクノロジーを学習に応用すれば、流通コストを削減し、購入しやすい価格を実現し、裕福でない地域へのアクセスを拡大し、労働力を新しいスキルに迅速に適応させ、教育企業の市場参画機会全体を拡大することができます。
今日のほとんどの学習は未だに伝統的な、オンプレミスや教室ベースで行われているため、テクノロジーによる恩恵は教育市場全体へ適用され始めたばかりです。

COVID-19により学校の閉鎖を経験した学生は、国連によると全世界の94%に当たる190か国16億人にのぼります。
そのため、強制的にオンライン学習が行われました。
この期間に得られた教訓は、高等教育の永続的なデジタル・トランスフォーメーションを可能にするポテンシャルを秘めています。
コーセラは未来の教育の特徴は次の3つのようになると考えています。

Blended classrooms(新しいスタイルの教室)

コーセラはオンライン学習が高等教育の”ニュー・ノーマル”になると考えています。
そこでは、全ての学生がオンラインで授業を受けますが、教室に座って授業を受ける学生もいれば、一度も登校することがない学生もいます。
オンライン学習は大学の学位取得のハードルを下げ、また、オンライン学習がなければ学位取得を目指すことがなかった学生にまで市場を拡大します。

Job-relevant education(職に関連した教育)

自動化とCOVID-19による失業率の上昇リスクは、職に関連した教育が高等教育の重要な要素になるであろうことを意味しています。
コーセラは、学生が大学と業界の教育者からスキルベースの実践的な学習を求めていると考えています。
GoogleやAWSなどの企業はすでに大学と連携して、大学の学位取得に繋げることができるスキルに特化した専門資格を提供しています。
オンライン学習により、大学は学生の需要を満たす学部を持っていなくても、データサイエンスやコンピュータサイエンスなどの需要の高い最先端分野のコースを学生に提供することができます。

Lifelong learning at work(職場で生涯学習)

変化の激しい職場で活躍するためには、常に新しいコンセプト、スキル、ツールを学ぶ必要があります。
多くの労働者は教育を受けるために職を手放す余裕はありません。
その結果、仕事をしながらオンラインで学ぶ柔軟性が求められます。
世界経済フォーラムによると、アメリカの雇用主の95%がスキルのニーズの変化に対応して、従業員を再教育することを計画しています。
また、The 2020 Deloitte Global Human Capital Trend のレポートによると、従業員の73%が労働力開発の責任は雇用主にあると回答しています。

ビジネスモデル

コーセラは、教育者、学習者、教育機関のグローバルなエコシステムを実現するプラットフォームです。
コーセラは、雇用主や大学、政府主催のプログラムを通して、自宅にいる学習者にサービスを提供しています。
コーセラは幅広い学習サービスを提供しています。(Guided Projects, courses, Specializations, certificates, degrees)
コーセラの市場参入戦略は、学習者を効率よくプラットフォームに引きつけ、学習者に合わせたコンテンツや学位プログラムを結びつけることを中心に据えています。その後、データに基づいた学習者の体験から、大企業の潜在的な見込み客を特定し、さらに、潜在的な企業、大学、政府の顧客を発見し、従事する直販チームによるアプローチを実施します。

コーセラのフリーミアムサービス、大規模な登録学習者層、および積み上げ可能なモデルは、顧客獲得に有利な経済環境を作り出します。
コーセラの2019年と2020年のセールス&マーケ費用はそれぞれ売上高の31%、37%を占めました。売上高は2019年から2020年で+59%の成長でした。
コーセラは多数のチャネル(消費者、大企業、学位)に参加しているため、テクノロジーやデータ、コンテンツ、ノウハウを大規模に活用することができます。

Consumer

コンシューマーサービスは個人をターゲットにしており、具体的には、実践的な学びを必要としている人や、価値のある仕事スキルを身につけたい人、プロフェッショナルレベルの資格を取得したい人などです。
コーセラの幅広いビジネスモデルはコンシューマーサービスが土台となって出来上がっています。
大規模な学習者層は、トップレベルの教育パートナーを惹きつけ、EnterpriseとDegreesセグメントの手掛かりを入手することを可能にし、データとインサイトを提供し、事業を拡大し、SEOパフォーマンスを向上させ、有利な経済環境を生み出します。

コンシューマーサービス利用者の獲得経路は、メールやアフィリエイトマーケティング、オンライン広告などのダイレクトマーケティングチャネルと、SEOやPR、テレビ広告、口コミなどのインダイレクトマーケティングチャネルです。
学習者の大半は、4,500以上のコースから1つを無料で利用できるフリーミアムサービスから利用し始めます。
有料会員になったもののみ、課題の採点や評価をしてもらうことができ、コース終了後には修了証を受け取ることができます。
コーセラの積み上げ可能なモデルでは、単独のコースを修了することで、より広範な学習プログラム(Specialization, Professional Certificate, 大学の学位など)への前進とみなすことができます。

出典:コーセラ S-1

コーセラは、学習者に最も関連性の高いコンテンツを、プラットフォーム上および電子メールなどのプラットフォーム外のチャネルを通じて、タイムリーにパーソナライズされた提案をすることで、学習者のアップセルと維持を図っています。
コーセラは大学や企業と提携してコンテンツを提供しており、パートナーには、学習者が教育コンテンツを利用することで得られる収益の一定割合を支払っています。

学習サービス支払い基準期間料金
Guided Project一回きり2時間以下10ドル
Courses一回きり4-6週間0-99ドル
Specializations前払い、サブスク3-6か月39-99ドル/月
Professional Certificates前払い、サブスク3-9か月39-99ドル/月
Coursera Plusサブスク月1回、年1回399ドル/年
出典:コーセラ S-1
Annual Consumer Cash Receipts by Coursera Registrant Cohort $M
出典:コーセラ S-1

Enterprise

Enterpriseセグメントの売上高のほぼ全てが教育機関の顧客からのサブスク収入です。
サブスクの契約期間は基本的には1~3年で、固定数のシートライセンスが含まれています。シートライセンスとは、1つにつき1人の学習者が1年間にわたってカタログの全てもしくは一部にアクセスできるものです。
Enterpriseサービスのほぼ全てのサブスクリプションは、四半期または年間の分割払いで請求されます。

コーセラは既存のEnterprise顧客との関係性をライセンスシート数を増やすことで拡大しています。
Enterprise顧客へは主に直販チームを通して、プラットフォームへのサブスクリプションを売り上げています。
このEnterprise顧客の獲得効率化には、Consumer学習者層の情報を役立てています。

Enterprise ARR by Enterprise Cohort $M
出典:コーセラ S-1

Enterprise売上は3つのメインサービスから獲得しています。

Coursera for Business

このサービス収益のほとんどは、Enterprise Planのシートライセンスのサブスクリプションに基づいています。

Coursera for Campus

大学の顧客には、キャンパスごとに固定のライセンス数または登録数、もしくは登録者数無制限の固定契約のいずれかのサブスクリプションを提供しています。

Coursera for Government

政府の顧客には、1年ごとにライセンスユーザー1人当たりの固定サブスクリプションを提供しています。

Degrees

コーセラは世界中の大学と提携して、完全オンラインの学士号や修士号を開発し、世界中の学習者に提供しています。
コーセラのプラットフォーム上にDegreesプログラムが公開されると、大学は学生を受け入れ、一定期間のオンライン学生の授業料に応じたパーセンテージ料金をコーセラに支払います。
Degreesパートナーとの契約は、通常、初回契約期間が2~10年となっています。
コーセラは設立以来開設してきた全ての学位を継続して提供します。
Degreesセグメントの収益の主なドライバーは、コーセラのオンラインDegreesプログラムに登録した学生数です。
オンラインDegreesプログラムへの登録は以下の3つにより促進されます。

  • パートナーにより提供される学位数をどれだけ増やせるか
    (新しいパートナーと提携したり、既存パートナーの提供するプログラムを増やしたり)
  • Degreesプログラムの潜在的な学生をいかに見つけ出し引き込めるか
  • 高品質なコンテンツと最適な学習体験を通じて、Degreesプログラムに登録した学生をどれだけ維持できるか
Degrees Annual Revenue by Degrees Program Cohort $M
出典:コーセラ S-1
New Degrees Students from Registered Learner Cohort
出典:コーセラ S-1

ソリューション:世界レベルの学習を届ける大規模なプラットフォーム

コーセラはあらゆる場所にいる学習者に世界クラスの教育を届けることを目的に、学習者と教育者、教育機関からなるグローバルなエコシステムをつなぐプラットフォームです。
コーセラはコンテンツ、データ、テクノロジーを単一の統一されたプラットフォームにまとめており、個人の学習者と教育機関の両方に合わせてカスタマイズおよび拡張が可能となっています。
コーセラは200以上の主要な大学や産業界パートナーと提携し、デジタル化が進む世界のニーズに応えるために、柔軟で手頃な価格の、仕事に役立つオンライン学習体験を提供しています。

出典:コーセラ S-1

高品質なコンテンツと資格のカタログ

コーセラはWebサイト設計を9.9ドルで学べる2時間のGuided Projectからミシガン大学の公衆衛生学修士号を取得できる4,500ドルのコースまで、幅広い学習を提供しています。

出典:コーセラ S-1

最先端の大学や産業界のパートナーが開発したコンテンツ

コーセラは200以上の最先端の大学や産業界のパートナーと提携し、幅広い種類のコンテンツと資格を提供しています。

2020年12月31日時点で、150以上の大学パートナーが、データサイエンスやテクノロジー、ビジネス、健康、社会科学、芸術・人文科学などの様々な領域で4,000以上のコースを提供しています。
コーセラのプラットフォーム上でコースを提供している提携大学は28か国に存在します。
アメリカの大学では、ジョンズ・ホプキンス大学、スタンフォード大学、ミシガン大学、ペンシルベニア大学、イェール大学などがあります。

2020年12月31日時点で、開発者コミュニティの拡大を目指すプラットフォーム・テクノロジー企業を中心に50社以上の産業界パートナーが、主にデータサイエンス、テクノロジー、ビジネスの領域で600以上のコースを提供しています。
業界パートナーには、AWS、オートデスク、グーグル、IBM、ユニティ・テクノロジーズなどがあります。

パーソナライズされた学習体験を大規模に提供するテクノロジー

コーセラの統一されたテクノロジー・プラットフォームにより、学習者はより迅速かつ効果的な学習が可能になり、教育者は高品質なコンテンツを低コストで作成・配信することができ、雇用者は従業員に市場での競争力を高めるのに適したスキルを身につけさせることができるようになります。

コーセラの強み

大規模な学習者に基づく信頼されるブランド

7,700万人の登録学習者を擁するコーセラは、世界最大級の成人学習者層を有しています。
この大規模な学習者層は、トップレベルの教育パートナーを惹きつけ、データやインサイトを提供し、事業規模を拡大し、検索エンジンの最適化パフォーマンスを向上させ、有利な経済状況を生み出します。

消費者の”Flywheel”(=弾み車)が生み出す価格対コストの優位性

コーセラは、学習者がコーセラのプラットフォームに来て、無料のコースやプロジェクトを通じて学習の選択肢を探ることができるようにしています。
この効率的な獲得モデルは、無料の高品質なコンテンツ、グローバル・パートナーのブランド、検索エンジンの最適化に関する深い専門知識、強力な口コミ、広報活動、収益性の高いアフィリエイトの有料マーケティングチャンネルによって支えられており、大勢の学習者をコーセラに惹きつけ、彼らの学業や職業生活の過程で適切な学習体験と結びつけることができると考えています。

出典:コーセラ S-1

Flywheel(弾み車)とは、Marketing Funnel (Sales Funnel) に代わる概念です。
Funnel(漏斗) モデルではセールス&マーケティング戦略の中で顧客を後回しにしますが、Flywheel モデルでは顧客を中心に据え、顧客の満足度を高め、顧客の紹介を促進することで、企業の売上に貢献するというモデルです。

モジュラー方式で積み重ね可能なコンテンツと資格のブランディングされたカタログ

コーセラの幅広いカタログと柔軟なテクノロジー・プラットフォームは学習者に多くのエントリーポイントを提供し、彼らのスタート地点に関わらず、彼らが目標を達成するための道筋を示すことができます。
これにより、学習者がこれまでのスキルや資格、経験、キャリアの希望などに基づいて適切な学習プログラムを見つけ、目標達成のための道筋を提供することができます。

最先端の大学や産業界のパートナーとのネットワーク

世界中に広がる大規模な学習者層は、トップクラスの教育機関パートナーにとっては、比較的少ない先行投資で新たな顧客を獲得し、新たな収益源を生み出すことができる魅力的な存在となっています。
コーセラは、品質、専門知識、地理的魅力を優先して大学や産業界のパートナーを厳選しています。
テクノロジーが進歩し、それに伴う新たなスキルセットが出現した場合でも、パートナーとの関係を深めることで、意欲的で上昇志向のあるプロフェッショナルに必要なスキルを提供することができます。

職に関連した、実践的なプロジェクトおよび業界資格

急速に変化するスキルの状況に対応し、競争に勝つためには、学習者は仕事に関連するツールを使い、実践的なスキルをすばやく見つけ、習得する必要があります。
コーセラのプロジェクト・ネットワークは、産業界やアカデミックでの専門知識や経験を有する講師で構成されています。
コーセラのテクノロジー・プラットフォームは、講師が1~2時間のGuided Projectを効率的に発信し、受講者に最新の需要の高いスキルを教えることを可能にします。
同様に、FacebookやGoogle、IBM、Salesforceなどの有名企業が発行しているプロフェッショナル証明書は、学習者が新たな職に就くためのスキルアップを効率よく行うことを可能にします。

マルチ‐チャネルのEnterpriseモデル

単一のコンテンツカタログおよび統一されたテクノロジーとデータのプラットフォームにより、6,000以上の企業、大学、政府などの世界中の顧客にコンテンツと資格を配信・配布することができます。
コーセラの技術は、教育側のパートナーが世界中に散らばる大勢の従業員に職場を通じてアプローチし、質の高い生涯学習を提供することを可能にします。
また、この技術は教育機関ネットワーク内でのコラボレーションも可能なので、企業・大学・政府機関はコンテンツ、プログラム設定、ライセンス、データ分析を共有することで、コーセラ上でコラボレーションすることができます。

豊富なデータ分析とスキル分析

すべての教育・学習がオンラインで行われているため、コーセラのプラットフォームには、教育・学習・コンテンツ・成果に関する膨大なデータを取得できます。
これらのデータを基にマシンラーニングを利用して、コンテンツや仕事にスキルを割り振ることで、パーソナライズされた学習を通じた学習者の成功を促進することが可能です。
また、コースを受講してもらうための学習者とのコミュニケーションを自動化してターゲットを絞り込むことでマーケティングを効率化することも可能です。

機会:世界の教育市場は規模が大きく、成長中である

教育市場の情報機関である HolonIQ によると、2019年の世界の高等教育市場は2.2兆ドル、世界のオンライン学習市場は360億ドルで2025年には740億ドルに成長すると予想されています。

成長戦略

  • Enterpriseチャネルを成長させるための投資の継続
  • フリーミアムのEnterpriseサービスの採用と転換の促進
  • オンライン学位数とDegreesプログラム受講者数の拡大
  • 学習者層の拡大とブランド構築の継続
  • コンテンツ、資格カタログ、教育パートナーネットワークの拡大
  • 有料プランへの移行の促進、有料学習者のアップセル、維持率の向上
  • グローバル展開の継続

競合

D2Cのオンライン教育

  • 2U, Inc.
  • edX Inc.
  • Eruditus Learning Solutions Pte. Ltd.
  • FutureLearn Limited
  • Udemy, Inc.
  • upGrad Education Private Limited

企業研修会社

  • A Cloud Guru Ltd.
  • Degreed, Inc.
  • LinkedIn Corporation through its LinkedIn Learning services
  • Pluralsight, Inc.
  • Udacity, Inc.

無料学習教材の提供者

  • Khan Academy, Inc.
  • The Wikipedia Foundation, Inc.
  • Google through its YouTube services

国際オンライン学位プラットフォーム

  • 大学が独自に開発したオンライン学位プログラム

幹事

  • モルガンスタンレー
  • ゴールドマンサックス
  • シティグループ
  • UBS, …, etc.