FOMC後の記者会見でパウエル議長は何を語った?

勉強メモ

2021/6/15~16にFOMCがあり、終了後にパウエル議長が記者会見がありました。

会見の主な内容は次の通りです。

  • 政策金利と資産購入を維持する
  • 経済活動と雇用に関する指標は引き続き強い
  • 実質GDPは歴史的な高い成長率を記録する見込み
  • 介護・ウイルスに対する不安・失業給付金が雇用の増加を圧迫しているが、今後数カ月のうちに解消され、雇用は急速に回復する見込み
  • 供給のボトルネックの影響は予想以上に大きいが、インフレ率は今後数カ月上昇したのちに緩やかになる見込み
  • インフレ率が2%を大きく超えて持続的に変化している兆候が見られれば、金融政策のスタンスを調整する用意がある

注目したのはアンダーラインした箇所です。

FOMCは議会から、”雇用の最大化”と”物価の安定”という2つの使命が課されています。
これまでは雇用に重点を置いた発言でしたが、今回の会見では物価(インフレ)を意識していることが伝わってきました。

参考:記者会見のトランスクリプト

次に、注目した質疑応答について。

CNBCのYlan Mui(3人目の質問者)が次の質問をしました。

「FOMCメンバーの中で、テーパリングの時期について話し始める時期について議論されたという話があったが、具体的なスケジュールの話は出たか?」

これに対して、パウエル議長は次のように答えました。

「タイミングについてはもっとデータを見ないとわからない。これ以上説明できることはない。しかし、今回の会議は『talking about talking about meeting』だと思ってもらってよい。今後、この言葉は使わない。

これまでパウエル議長は『talking about talking about meeting(テーパリングの時期について検討し始める時期についての議論)』すらしていないと発言をしていました。

このことから、FRBがテーパリングに向けて明らかに一歩前進したことがわかります。

以前、Tweetしましたが、8月のジャクソン・ホールか9月のFOMCでテーパリングについてシグナルが出される可能性が高いです。

FOMCメンバーによる経済予想サマリー(SEP,Summary of Economic Projections)は以下にまとめました。

FRBメンバーによる各々の経済予想

実質GDP成長率

出典:FRB

落ち込んでいた経済活動が引き続き回復しており、今年の実質GDPは歴史的な急成長を記録する見込みです。

FOMCメンバーの予想は、3月時点の予想から上方修正されました。

失業率

出典:FRB

FOMCメンバーの失業率予想は、3月の予想からほとんど変更がありませんでした。

インフレ率

インフレ率はここ数カ月で顕著に上昇しています。

4月のPCE価格の12カ月間の変化率は3.6%で、今後数カ月間は上昇を続けた後、緩やかになることが想定されます。

この上昇は、パンデミックの影響で一年前の数値が非常に低かったことや、原油価格の高騰が影響しています。

これらの影響に加え、経済再開に伴う支出の回復による価格上昇圧力も見られます。特に、供給のボトルネックの影響が予想以上に大きく、FOMCメンバーは今年末のインフレ予想を大幅に上方修正しました。

この一過性の供給のボトルネックが解消されると、インフレ率は長期目標に向かって低下することが予想されています。

PCEインフレ率

出典:FRB

コアPCEインフレ率

出典:FRB

FFレートのターゲットレンジ

・FFレートのターゲットレンジ(3月時点)

出典:FRB

・FFレートのターゲットレンジ(6月時点)

出典:FRB

FOMCメンバーはこれまでの想定よりも早く経済が良好な状況になると予想しており、2023年末の適切なFFレートのターゲットレンジの上方修正が目立ちます。