本記事は、2021/1/11のじっちゃまのYoutube Live『ドリブン・ブランズについて』のメモです。
ドリブン・ブランズ($DRVN)について
ドリブン・ブランズのS-1はこちら
自動車修理工場のフランチャイズ。
自動車修理の他に、オイル交換などの定期点検、洗車といった車にまつわる色々なサービスを展開。
ローテクなイメージを抱くかもしれないが、ブランデッド・フランチャイズ・ビジネスは当たればとてもおいしい。
広瀬さんが昔務めていたH&Qや、モンゴメリ・セキュリティーズ、ロバートソン・スティーブンスなどのハイテク系ブティックと呼ばれる証券会社には共通することが3つある。
ハイテク株がハイパーグロース株であるということ、バイオテクノロジーがグロース株であるというのはわかりやすい。
なぜ、自動車修理工場やハンバーガーショップのようなローテクなものをブティック投資銀行がわざわざ手掛けるのか。
それは成長の仕方がグロース株に似ているから。
もっと言えば、フランチャイズビジネスはビジネスがテイクオフした段階ではROE(自己資本利益率)が高い。
よく儲かるビジネスだし、よく成長するビジネスという特徴がある。
これが非常に重要なこと。
投資銀行部門のバンカーが新興企業の資金調達を助けていく時のアプローチの仕方や、株式営業部やトレーディングなどのディストリビューション側の舞台にその商品を乗せやすい、そういうグロース株との相性が良いという特徴がブランデッド・プロダクツを扱う理由。
もっと突き詰めて言えば、株式の買い手(機関投資家)の客筋が同じで、グロース株の投資家はハイテク株も買うし、スターバックスのようなブランデッド・サービスの株も買う。
では、ブランデッド・ビジネスの成長の特徴はどういうものなのか。
チェーン店というのは、1つのサービスのフォーマット(こういうやり方で、こういうブランドで、こういうものを売っていけばそこそこ商売になるという成功の方程式)がいったん固定してしまえば、あとはフランチャイズ方式などで、同じロゴ、同じハンバーガーを全国に展開していくだけで、将来の成長が予想することができる。
そのため、レストラン株やブティック株は、特定の地域だけで成功していて、これから全国展開を目指していくという局面が一番儲かる。
なぜなら、同じ成功を全米にコピペするだけだから。
ドリブン・ブランズの詳細について
自動車修理市場はバカでかいマーケットで、年商3,000億ドルという巨大市場。
しかも零細な個人経営が乱立しており、独占的なブランドはない。一部ブランドはでき始めている。
ドリブンには10種のブランドがある。
Take 5:ドライブスルー方式のオイルチェンジサービス。556拠点(うち81拠点がフランチャイズ)。
Meineke:メンテナンスサービス。815拠点。
IMO:洗車サービス。740拠点。
CARSTAR, ABRA and Fix Auto USA:修繕サービス。937拠点
Maaco:ペイントサービス。452拠点。
などなど。
14か国に展開していて、営業所は4,100か所とスケールはかなり出来ている段階。
ただ、全米にある自動車修理工場の数を考えれば、ドリブンのマーケットシェアは1%にも満たない。
すでにマーケットシェアリーダーであるにも関わらず、成長の伸びしろはめちゃくちゃある。
ドリブン・ブランズの経営者が町の修理工場の社長を訪問し、

経営者
社長、うちのフランチャイズに入りませんか?
ブランド展開しませんか?

社長
なんでだよー。
うちは自由気ままにやってたいんだよー。

経営者
その気持ちもわかるんですけどねー。
うちのブランドでうちのサービスを始めたら、『Cash on Cash Return』が非常に高いんです。

経営者
うちのブランドを掲げて、電算システムを導入するだけで、売上が3割も4割も増えるんですよー。
といったように提案をし、どんどん看板を掛け変えていく。
だけど、やっているビジネスの内容は変わらないので、初期投資額は少なくて済む。
Cash on Cash Return:投資効率を評価する指標。店舗に対する直接投資に対する見返り。
自動車修理工場というのは車が壊れた時に駆け込むところであって、今まで積極的なマーケティングというのはほとんどしてこなかった。
でも、例えば、「半年たったのでそろそろオイル交換の時期ですよ。アポイント取るのでうちのガレージに来てください。」というメールを1本打てばよい。
こういうマーケティングツールはスマホ向けのTwilioなど、今はいろんなサービスがあるのでそれを使わない手はない。
旧態依然とした自動車修理工場の実態をもっと近代経営にする時のフォーマットを持っているのが、ドリブン・ブランズという会社。
CEOはバーガーキングから来た。
CFOはホームセンターのローズの財務部から来た。
データサイエンティストもローズから来た。
ホーム・デポやローズはバカでかい規模なので、商品点数は非常に多い。
だから在庫管理は電算化されていないといけない。
ホームデポやローズは、データアナリティクスが非常に進んでいる。
そういったところからIT担当者を引っこ抜き、古い経営体質の自動車修理工場の経営改革をすることによって、すぐにリターンを上げることができる。
しかも、顧客の車のデータ(車の車種、前回のオイル交換の時期、タイヤのすり減り具合)をデータベース化し、それを利用して、「そろそろタイヤをローテーションして位置を変えた方がいいんじゃないですか?」という提案をして来店頻度を上げていくこともできる。
過去5年間の売上高成長率は年率37%で伸びている(下図)。修正EBITDAも年率22%で良い感じで伸びている。

既存店売上比較(下図)

既存店売上比較というのは、同一の店舗が前年に比べてどれぐらい売り上げを伸ばしたかという尺度。
過去12年間ずっと前年比でプラスで平均は4%。
小売業やレストランとかで、既存店売上比較がきちんと(4%とか5%ぐらい)出ている企業は稀で優等生。
この点からもドリブンは非常によい感じでスタートしている。
懸念点
負債比率がやや高いこと。
その理由は、買収に次ぐ買収で大きくなってきているから。
純負債/EBITDA=約8倍
これはあまりよくない。
しかし、営業CFはそこそこ出ているので、(ちょっと借金多すぎて大丈夫かな)という懸念は今の段階では持っていない。
幹事構成
モルガンスタンレー、バンクオブアメリカ、ゴールドマンサックス、JPモルガン、バークレイズなど。
勉強になったQ&A
SPAC銘柄もIPO銘柄同様、初めての決算をしくじったら売り?
答えは、そうとは限らない。
未公開企業の経営者には2つの道がある。1つはIPO、もう1つはSPACで裏口上場。
IPOできる企業は、すでに売上高があり、しかも、上場後、売上高がポンポンと伸びていく、あるいは利益がそれなりに伸びるとか、赤字であってもだんだん赤字幅が小さくなるとか、四半期決算できちんとした決算を出せる目途が立っている企業。
ここがIPOできるかどうかの非常に重要なポイント。
SPACで裏口上場する企業というのは、そこまでは到達していない企業。
例えば、ヴァージン・ギャラクティック($SPCE)は、売上高は0。宇宙船もない。良い決算を出せるわけない。
SPACの道を選ぶことが意味するのは、普通にはまだ決算を出せない。
だけど、資金調達のタイミングとしてはもう待てない、今しかない、そういう背に腹は代えられない企業が、SPACでの上場を目指す。
SPACに投資する時に気をつけないといけないことは、決算はかなり醜悪な数字になる、見苦しい数字しか出せないというのを覚悟したうえで、そのストーリーに飛び乗るしかないということ。
SPACは余程リスク耐性がある人でないと難しい投資対象。上級者向け。
株式投資について
株というのは、最も危険な時に、1番安全に思ってしまう。
今はみんながテスラに対して強気になっているが、いつ暴落してもおかしくない。
天然ガス関連銘柄
サウスウエスタンエナジー($SWN)
米国や欧州は暖冬と予想されていたが、冬が始まってみれば寒かった。
トレーダーも暖冬にあわせてロングのポジションを落としていたはず。
天然ガス価格が上昇するかもしれないので、サウスウェスタンエナジーはおもしろいかもしれない。
じっちゃまライブ後の株価は以下の通り。4日間で約25%ぐらい上昇したのち下落。

GAFA解体について
トランプが暴動を扇動したことで、FacebookやTwiiterがトランプ大統領のアカウントを凍結した。
AmazonもStripeもいろんなところがトランプを干した。
重要なのは、プラットフォームカンパニー(GAFAやTwitterなど)は【ものすごい権力を持っている】、【大統領にさえ歯向かうことができる】というテクノロジーカンパニーの権力を見せつけた。
中期目線では、これは良くないこと。
将来的に、テクノロジー会社は権力を持ちすぎているから解体した方が良いというような風当たりが強くなるリスクが大きい。
アメリカの産業史を紐解くと、権力を持つ会社に対する政府の追求は非常に厳しい。
ロックフェラーのスタンダード石油はシャーマン反トラスト法により、ずたずたに解体された。
AT&T(昔はマーヴェルと呼ばれていた)は、リージョナルデルにバラバラにされた。
TVの3大ネットワークは、FINSENという法律ができて、Studio(ワーナーブラザーズなどの映画会社やテレビ制作会社)が地方の放送局を兼営してはならなくなり分断された。
Googleは創立されてから20年は経っているので、すでに若い企業ではなくなっている。
ガリバー的な存在になる前に解体しようという議論が出てきやすい時期になっている。
とりわけ、バイデン政権はGAFAに対して厳しいかもしれないので気を付ける必要がある。
NIO、XPENG
NIOやXPENGは、今ちゃんと数字が出ていて良い。
これからも納車台数などの数値を手掛かりに投資していくべき。
純利益が毎年毎年マイナスの企業の財務判断基準は?(上級者)
1つは社債の償還期限をチェック。
次に大きな借金をしないといけないタイミングはいつなのかを調べる。
ほとんどのIPOしたばかりの若い会社は、IPOをする時に資金調達の計画を立てる時に、例えば、「どれぐらい資金調達すれば今のペースで赤字を出し続けても2年間は倒産しないよね」ということを勘案した資金調達のプランになっていることがほとんど。
だから、それを心配する必要はほとんどない。
将来EVが普及することでドリブン・ブランズへの悪影響はないか?
ないと思う。
なぜなら、アメリカでのEV普及率は2%に過ぎないから。
アメリカの自動車市場はバカでかいし、毎年売れている新車ではなく、すでに走っている中古車の数がものすごい多いから。
アメリカで走っている車の平均車齢は12年。
自動車修理市場は3,000億ドル市場で、年率4%で成長しており、しかも、成長率は加速しそうになっている。
だから、EVがガソリン車を駆逐する時代は当然遠い将来に来るが、目先は、ドリブンのターゲットマーケットの成長のパイは、EVの市場よりも大きくなっている。
そこに注目すべき。
フロンティアマーケットと新興国について
ETFのFMとEEMSについて。
FMはフロンティアマーケット(新興国よりももっと後進国、株式市場がものすごく未発達な国)に投資するETF
EEMSは新興国(中国、ブラジル、ロシア、インドなど)の小型株に投資するETF
この2つは全くの別物だが、どちらも旬。
投資するのに良いタイミング。
レアメタルについて
EV関連として素材のレアメタルも関係してくるが、レアメタルの投資は一筋縄ではいかない。
レアメタルというのは、非常に単価の安いコモディティであって、泥みたいなものだから。
そこからビジネスをクリエイトするのは非常に難しい。
しかもレアメタルのほとんどは中国で採れて、中国の安い労働力で奴隷みたいに働かされて生産している。
だから、それにコスト競争力で勝てるかというと、なかなか勝てないと思う。
われわれはブームだと聞くと、例えば、EVブームだとなると「テスラはどうだ?」「テスラはもう高くて買えない。」「柳の下の2匹目は何だ?」「レアメタル?コバルト?リチウム?」といったように、連想ゲームのように芋づる式で投資対象を拡散させる。
そういった投資アプローチは失敗に終わることが多い。
気が付いた時には、「自分はこんなとんでもない株を買っていた、、、。」となってしまう。
ブームの後半部分は、今EVバブルは後半に差し掛かっていると思うが、そういう局面ではその間違いをしやすい。
今は、物色を拡大するべきではなくて、逆にテーマ株の物色を絞り込むべき時!
S&P500でつみたてするより、QQQの方が利回りが良いのでは?
それは今だからそういう風に見えているだけ。
今はNASDAQだけがかなりアウトパフォームしている。
この状況はとても危険。
極端に振れすぎた振り子はまた中心に戻ってくるという力学がはたらく。
どこかで潮目が変われば、NASDAQはダウやS&P500と変わらないパフォーマンスになる。
その期間で、NASDAQだけが他と比べてめちゃくちゃにやられる。
今は1998年-2001年の4年間の状況に似ている。(下図)
[オレンジ:NASDAQ、水色:S&P500、黒:ダウ]

SPACのファンドマネージャーを手掛かりに買う方法は?
それはやらない方がいい。
個別株を買うとかスタートアップ企業に投資するのとは違う。
SPACは何百銘柄もある。それらのSPACがいろんな未公開企業と話をしている。
そのなかで、今、合併したいという案件とたまたまニーズがあった時に合併する。
しかもポートフォリオ組み込み銘柄は1銘柄。
さらに、その話し合いが成立しない可能性もめちゃくちゃある。
だから、ファンドマネージャーの腕前や目利き力が関係ないところで決まる可能性が高い。
それを考慮すべき。
AMWLについて
11月12日にIPO後、初の決算発表。
EPS:($0.92) vs コンセンサス予想:($0.27) ←特殊要因は言っている?
売上高:$62.55 million vs コンセンサス予想:$55.9 million ←ぶっちぎりで良い!
修正EBITDA:($26.2) million vs コンセンサス予想:($39.1) million ←良い!
ガイダンスもコンセンサスを上回っていた。
$TRITの創業者が関連会社を利用し、売上を水増ししているという噂について
詳しくは知らない。
噂が本当であれば、いわゆる「Related party transaction」と呼ばれるもの。
ウォールストリートではそれは御法度。