本記事は、2021/3/5のじっちゃまのYoutube Live『雇用統計について』のメモです。
雇用統計について
雇用統計
2月の雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数が18.2万人で失業率が6.3%。
失業率はかなり改善してきたが、コロナ前と比べて1,000万人ぐらいの雇用が失われたままなので、FRBはまだ金利の引き締めはしないと思う。
失業率のカウントには、そもそも求職を諦めてしまった人(労働市場から脱落した人)は入っていない。
労働力率
労働力率:労働市場に参加しようとしている国民の割合を図る統計
大きなリセッション(リーマンショックやCOVID-19など)があると労働力率がガクンと下がる。
そして、一度大きく下がった労働力率を元に戻すのは並大抵の努力ではない。
先日、次期FRB議長最有力候補と言われているライル・ブレイナード(Lael Brainard)が、新しい政策金利決定フレームワークの1つの目玉として、「雇用市場は inclusive な(誰も仲間外れにしない)形で回復しなければいけない」ということを強調していた。
パウエル議長の任期は1年も残っておらず、今年中にバトンタッチするため、彼女の意見は市場から注目されると思う。
人種別失業率
人種別失業率を見ると、黒人・ヒスパニックの失業率がかなり高い。
そのため、黒人・ヒスパニックの雇用が戻ってくるまでは、FRBは緩和の手を休めるべきではないという考えが、FRBの内部には根強くある。
消費者物価指数
最近、長期金利が上昇気味で、為替も大きく動いている。
債券市場、為替市場の参加者が何を考えているかというと、FRBのメッセージが変わるのではないかということ。
具体的には、現在の超緩和的な政策が改められて、テーパリングが始まるのではないかということが予想され始めている。
昨日、WSJのシンポジウムの中でもパウエル議長は、去年の政策金利決定フレームワークの変更について言及していた。
FRBは、インフレ率が2%を一時的に超えても何もしない、ある程度の期間で見て2%に収まっていればよいと考えている。
これは、FRBがいつ重い腰を上げるかのタイミングに関わるためとても重要なこと。
アメリカの消費者物価指数を見ると、1970年、80年代はかなりインフレになっていた。
少しでも景気が良くなって失業率が低下し始めると、FRBはすぐに物価のことを心配しなければならないという時代があった。
今、失業率が低下し始めており、FRBはアクセルからブレーキに踏みかえるタイミングを考えないといけないが、1970年代、80年代と同じようなことはできない。
なぜなら、昔は一流企業に入り、一生その会社で勤め上げて、良い医療保険に入り、良い企業年金の恩恵を受けるという考え方だったが、今は高齢化や、AIの導入、ギグエコノミー(フリーランスワーカー)の常態化などの問題がある。
この社会環境の中では、雇用をしっかり守ることは昔よりもはるかに難しくなっている。FRBが雇用と物価のどちらを優先するかという選択になれば、雇用を重要視すると思う。
物価は、デフレプレッシャーが常にかかっているので、放っておいても安定している。
要は雇用統計の数字はかなり強くなるリスクがあり、それを織り込む形で長期金利は上昇している。
ドル円も久しぶりにドル高にはっきりと振れてきている。
しかし、雇用統計の数字が強かったとしてもFRBが慌てて動き始めるということは考えにくい。
勉強になったQ&A
スパイアー($NSH)について
人工衛星を通じて地球を観察し、得られたデータからノイズを除去し、誰でも使いやすくしている。
これをSaaSという形で、いろんな企業に提供している会社。
スノーフレイク($SNOW)やパランティア($PLTR)のディールの際に、『ビッグデータ』や『AI』というワードがキャッチフレーズとしてよく使用されていた。
このワードが具体的に何を指しているかというと、
スノーフレイクのデータベースの中身は、大半の部分が衛星写真のような画像。
パランティアは軍などにサービスを提供しているが、そのサービスの大部分は衛星写真の解釈・分析。
だから、ビッグデータが何かというと、それは整理されていないデータのこと。
映像や動画は典型的な整理されていないデータ。
つまり、ここら辺のビジネス(SNOW, PLTR, NSH)は、『ビッグデータ』や『AI』というストーリーの中でも、どまんなか中のどまんなかの銘柄。
しかも宇宙関連銘柄である。
なぜ今『買い推奨』をしている?
(周りが儲かっていて、自分だけ儲かっていない、、、。)
(クソ、次こそは大きく儲けてやる!)
というような欲が丸出しになっている時は、スパーンとやられてしまう。
野球でいえば、バントせず、ホームラン狙いで大振りになるケース。
こういう時に、スパーンとやられてしまう。
みんなも強気で、自分も強気で、相場はしっかりしている、株価指数は過去最高値圏に近い。
そういう時に、ふっと魔が差して立てた大きなポジションが、いつのまにか(もうこんなにやられているの?)というような、気づかないうちに大きくやられているケースが多々ある。
特に、テーマやストーリーに踊らされて株を買った人は大きくやられる。
今回でいえば、絶頂から今のボロボロになるまで2週間程度しかかかっていない。
今はみんな傷だらけで、もう買えないという感じで、ガクブルになっている。
みんなが怖くて買えないという状況で、勇気を振り絞って買う。
もちろん買ったそばからスパーンとやられてしまうが、こういう風に苦労に苦労を重ねて買ったポジションは大きくやられない。
このポジションは、後々、お宝ポジションになる。
だから、買ったそばから瞬間的に儲かるということは期待していない。今は。
今は株が乱高下している。
この乱高下は、この先、何回も続く。ボールがバウンドするように。
しかし、繰り返すごとにそのブレ(ボラティリティ)は小さくなっていく。
下げ局面では、これからボラティリティは段々小さくなっていく。
その過程の中で、株価はだんだん戻ってくるというイメージ。
今は買ってすぐ儲かるというようなことを期待する局面ではない。
でも、ここで買ったポジションはお宝ポジションになる。
去年の年末ごろからシクリカル銘柄やオールドエコノミー銘柄を紹介してきた。
それはこういう局面を想定していたから。
しかし、今はハイパー・グロース銘柄で血みどろになっている人が出ている。
そういう局面では、ハイパー・グロース銘柄を買った方が良い。
みんなが傷ついて手放したポジションというのは、安全なポジションだから。
みんなは安全なポジションを求めて、リア充銘柄に移動しているが、ハイパー・グロースの方がおもしろい。
オクタによる Auth0 の買収に関して
この買収は、稀に見るすばらしい買収。
Auth0 は非常に良い会社で、オクタの手ごわいライバル。
オクタはその会社を傘下に入れることができた。
Auth0 のやっていることは、消費者市場におけるアイデンティティ・マネージメントがターゲット市場となる。
オクタもこのマーケットに参入しているが、比較的弱い部分だった。
だから、この買収による獲得可能市場も大きい。
つまり、オクタの最大獲得可能市場が1.8倍ぐらいには増えたと言える。
オクタのガイダンスが悪かったのは、ものすごくブレーキを踏んで、わざと低めに出しているから。
65億ドルの大きな買収なので、これから統合経費などが出てくるし、いま思いっきり営業に力を入れて大きくなった新会社としてバーンと行こうとしているから。
いま米国債市場で問題になっていること
銀行の会計ルールでSLR(補完的レバレッジ比率)と呼ばれるリスクの尺度に関する規制がある。
銀行がリスク資産をどれだけ抱え込んでいるのかということに関する規制。
この規制を巡って話題になっている。
この前の債権の下げ(利回りの上昇)はこれが原因。
SLRが結局何かというと、
リーマンショックの後に、銀行がレバレッジを使いすぎているから、そんなにバランスシートを広くして相場を張るのではなく、もっとコンパクトにやりなさいということが決まった。
そこで持ち込まれた一つの評価尺度として、SLRと呼ばれるリスク資産の集計・把握の仕方が導入された。
SLRの中で米国債は、今は新型コロナなのでリスク資産の計算から除外されるという特例が設けられた。
この特例が期限切れになるのが3月31日。
先週、7年債の入札が不調だった。
1つの原因は、アメリカのメガバンク(JPモルガン、BoA、シティグループ、ウェルズファーゴ)が、「SLR規制の特例延長されなければ、入札してもポジションを整理しなければならない。」ということで新規の購入を控えたこと。
メガバンクは米国債の大きな買い手。
もう1つの重要なポイントは、ウェルズファーゴの総量規制。
今ウェルズファーゴは売上高を伸ばせないし、資産も伸ばせない。
だから、債券を新しく在庫に買い入れるということも出来ない。
アメリカには4つしかメガバンクしかないのに、FRBがそのうちの1つの買いを止めている。
だから、残りの3つの銀行がアップアップになりながら債券を買っているので、FRBに対して特例措置の延長を求めている。
それにも関わらず、先日のWSJのシンポジウムでパウエル議長はこの問題をスルーした。延長しなければならないのに。
それが債券が売られ、株価も下げた理由。
SLR問題もウェルズファーゴ問題も大問題。
いまアメリカの債券市場は、こういう細かい会計上のテクニカルな問題で下げている。
債券市場全体がおかしなギクシャクした状態にあるわけではない。
これはFRBが自らまいた種であり、それをちゃんと始末する必要がある。
始末する方法は、ひとこと「ウェルズファーゴ、悔い改めたのか?反省しているのか?じゃあOK」と言えばいい。
Auth0 について
Auth0 はソフトウェアのエンジニアにとても愛されている会社。
他にそういう企業は、ストライプやトゥイリオ($TWLO)がある。
なぜ愛されているかというと、ペイメントソリューションやEメールソリューションなどはエンジニアにとってはめんどくさい細かい仕事だから。
それを代わりにやってくれるからエンジニアから人気がある。
オクタとしては、1社だけ危険なライバルとしてAuth0 を認識していた。
ブランドネームから言えば、オクタの方が通りが良い。
CEOはみんなオクタを知っているが、Auth0 は知らない。
でも、エンジニアはみんなAuth0 を知っている。
だから、オクタは放置しておくのは危険と思っていた。
買収した後で、オクタはAuth0 のブランドネーム、経営陣を一切変更しない。
「別動隊として動け」と言っている。
なぜかというと、オクタがAuth0 に少しでもタッチしたら、ソフトウェアのデベロッパー・コミュニティから「そんなことやめて!」とクレームが入るから。
オクタは顧客からクレームが入ることをわかっているから、Auth0 に対して何もしない。
オクタはライバルから潰される可能性が0になった。
ヴァージン・ギャラクティック($SPCE)について
よくない会社。売り。
インサイダーが大量に株を売却した。
今日3銘柄を仕込むとしたら?
- ズーム ($ZM)
- オクタ ($OKTA)
- ピンタレスト ($PINS)