今、マルチプル・コントラクションが起きている by じっちゃま

じっちゃま

本記事は、2021/3/25のじっちゃまのYoutube Live『ワクチン1回目注射してきました』のメモです。

今の相場について

今、何を買っても儲からない非常に難しい相場になっている。
GAFAMも、SaaS銘柄も、去年の人気IPO銘柄も、テーマ株(EV、宇宙、ゲノムなど)、SPACも冴えない。

それどころか、最近まで儲かっていた、素材株や工業株、消費循環株、海運株も儲からなくなってきている。

その理由は、ひとことで言えば、マルチプル・コントラクションが始まったから。

マルチプル・コントラクションについて

マルチプルはPEマルチプル(倍率)のこと、PEはPERのこと。

一般に急成長の株は、高いPERで取引される。
低成長の退屈な株は、低いPERで取引される。

ある銘柄のPERがどんどん拡大する状況をマルチプル・エクスパンジョン(拡大)という。
逆に、ある銘柄のPERがどんどん下がる状況をマルチプル・コントラクション(縮小)という。

今は典型的なマルチプル・コントラクションの局面。
S&P500 のPERは、ピーク時は22倍ぐらいだったが、今は21倍ぐらいに下がり始めている。

今、なぜマルチプル・コントラクションが起きている?
決して業績が悪いわけではない。

  • 2020年のS&P500 利益は140.46ドル
  • 今年(2021年)の予想S&P500 利益は175.64ドル
  • 来年(2022年)の予想S&P500 利益は201.97ドル

つまり、今年の成長率は+25%、今年から来年の成長率は+15%と予想されている。
これらの成長率は立派な数字なので、決して第4四半期の業績が悪かったからPERが下がっているわけではない。

では、どういうときにマルチプル・コントラクションが起きるのか?

1番多いパターンは、長期金利の上昇。

米国債10年利回り
出典:TradingView

米国債10年利回りの動きを見てみると、去年の8月に利回りが底をつけたが、それが0.50%ぐらい。
そこから、じわじわと金利が上がり始めて、そして段々と上昇ペースも上がり始め、先週は1.70%を超える水準まで上昇した。

1.70%は低いと思うかもしれないが、スタート地点が0.50%なので変化率はものすごく大きい。
それにビビッて投資家がリスクオフになったということだと思う。

だから、マルチプル・コントラクションの大きな要因は市中金利

それに加えて、もう一つ要因がある。それは経済成長。
こちらも全然問題はない。

これは3月17日に行われたFOMCで示された経済予想サマリーから引っ張ってきたデータ。
その中にFRBメンバーがぞれぞれ持ち寄った、今年以降の米国経済のGDP予想のデータが入っている。

2021年末のアメリカのGDP成長率は+6.5%で、これは非常に強い数字。
過去27年間で一番強い数字。

しかし、それ以降の数字を見ると、2022年は3.3%、2023年は2.2%で、普通の数字に戻っている。
つまり、新型コロナで経済成長は一瞬大きく落ち込んだが、2021年はその反動で6.5%という大きな成長を記録できるだろうが、来年以降はまた巡航速度に戻っていくだろうという予想。

これが意味することは、経済成長のピークは”今”じゃないかということ。

アメリカのワクチン接種は、50代の接種がスタートしている。
これが40代、30代、20代とどんどん拡大していくと思う。

一日あたりの接種数も、今は250万回ぐらいだが、300万回、400万回と増えていくと思う。

景況感の観点でいうと、注射を打つとみんな街に出るので、街角景気は急によくなると思う。
体感速度で今が一番景気の変化率はすごく良いと感じられると思う。

しかし、その後は経済の拡大のスピードは鈍化していくということに気を付けるべき。

さらに、長期金利でいえば、先週まではどんどん上がっていって「怖いな~」という感じだったが、今週に入って長期金利の上昇ペースがスローダウンし、逆に下がり始めている。

今後半年~1年のシナリオを考えた場合、景気は強いけどもスローダウンする。
金利は、今までは上昇していたが、それが鈍化する、あるいは和らぐ。

こういう場面でなにを買うべきか。

こういう場面でなにを買えばいい?

出典:広瀬さんYouTube(コンテクスチュアル・インベストメンツ)

昨日までの勝てるセクターは、金利が高くて景気が強いグレーのコーナーだった。
しかし、急にそこら辺の株が勝てなくなっている。

それはなぜかと言うと、これは投資のセオリー通り

何が起こっているかというと、いま景況感の改善がピークを迎えているから、今後は、金利は急速に上がっていたところから減速あるいは反落。
景気はすごく強かったところから来年、再来年はスローダウン。

だから、黄色かそれを飛び越して青のコーナーを視野に入れていかないといけない局面に来ている。
ヘルスケアや消費安定株

まとめると、何で最近の相場は儲からないかというと、激しく経済そのものが変わっている(急激に上がりそこから下がってくる)ことを市場参加者は先回りして織り込みに行ってるから。
でも、これは決して企業業績が悪いからではないし、景気も悪いわけではないし、金利水準もまだまだ低い。

相場的には今は難しくなっていて、みんなやられているし、株価は下がっているが、これでおしまいか、これから不況が来るのかというとそうではない。

今は金融相場が続いてきて、パウエル議長はまだ金融相場で良いと言っているが、市場関係者は「一度業績相場に移るべきじゃないか、もうすぐ引き締めあるよね。」という迷いが生じている。

あるいは、それよりももっと先を見ると、その先は景気のスローダウンという見立てがあるので、一気にスローダウンの局面に入っていくのかもしれない。
だから、そのシナリオであればFRBは何もしなくてよい。

実際、パウエル議長は何もしないということを明言している。

勉強になったQ&A

C3.ai ($AI)について

今の株価の水準は魅力的。

加えて、これから先、またグズグズした経済成長の時代が来ると思う、しばらく先に。
その時に、ハイパーグロースやSaaSといった銘柄が見直される局面が来ると思う、割と近い将来。
なので、今から仕込み始めるのは良いと思う。

テーマ株、ストーリー株について

今は、テーマ株とかストーリー株をいじる地合いではない。
一カ月ほど前に、「これからは何のテーマもない銘柄を愛してください」と言った。
今、まさしくその局面が来ている。

宇宙、AI、EVなどのテーマはお荷物。
そのテーマがあるために売られている状況。
それをしっかりと踏まえたうえで投資ストラテジーを考えるべき。

ドラフトキングスはSPACである。
SPACというカテゴリーは、劣等生、つまり、正規のルートでは上場できないグループ。
そのため、SPACは全て何らかの理由で良い決算ができないという問題を抱えている。
だから、SPACに投資するときは、訳あり商品だというとことを認識しておくこと。

ドラフトキングス($DKNG)の決算について

ドラフトキングスに代表されるオンラインカジノ関連が、なぜ正規の方法でIPOできなかったかというと、そもそも多くの州がオンラインカジノを解禁していないから。
「営業するな」と言われているので、業績が良くなりようがない。
だから、今は業績を見るべきではない。例外として。

良い決算の銘柄を買うのは鉄則で、ほとんど例外を作らない。
しかし、SPACは商品もない、売上高もない企業が上場しているので、例外を作らざるを得ない。
だから、途方もないリスクを抱えて投資をしていると認識している。

ドラフトキングスも例に漏れない。ドラフトキングスも博打。
その前提で、各州のライセンスが今どうなっているかというと、今度NY州が解禁すると言っているが、今後重要な州がどんどん解禁してくると思う。
いずれカリフォルニア州も解禁すると思う。すぐではないと思うが。
そういった形でこれから、カジノ解禁は佳境を迎えるので、今、片足を突っ込んでおかないといけない。

インテル($INTC)のファウンドリー事業参入について

インテルが280億ドル投資して、ファウンドリー事業に参入すると発表されたが、それはうまくいかないと考えている。

なぜかというと、ファウンドリーのビジネス経営というのは、垂直統合型のインテルやテキサスインスツルメンツのような自社で工場を持っている半導体の経営とは大きく経営のマインドが異なるから。

ファウンドリーのビジネスは、サービス精神旺盛でないと成功しない。

具体的にファウンドリーのビジネスの何が難しい?
例えば、プロセステクノロジーひとつをとっても、違う顧客のためにマスク(半導体の回路を焼きこむときの回路の図面)を次々とテキパキと変える、切り替えの早さが重要。
じっくりと回路の歩留まりを改善させていくことは比較的重要ではない。

インテルが得意なのは、マイクロプロセッサを一つしか作っていなかったので、じっくり時間をかけて歩留まりを向上させていくこと。
マスクを次々と変えて、少量ずつ多種類の半導体を作るのはインテルが一番不得意なこと。
だから、インテルは不得意な事業に参入しようとしているので、TSMCに横っ面をひっぱたかれるのは目に見えている。

今株価が下がっているということは、マーケットはすでに2年後までの経済も考慮している?

明らかに市場参加者のフォーカスは今年から来年にシフトし始めている。
だから今の相場が非常に難しい。

めちゃくちゃ景気が強かったところから、ぐっとスローダウンした状態になる。
それを景気後退の始まりと捉えるのかというと、それはたぶん間違い。
そうではなく、景気がズドーンと落ちて、そのあとパーンと復活して、そしてまた巡航速度に戻った、その巡航速度だということだと思う。
その巡航速度の部分というのは今までにない展開で、しかも景気が上げ下げする期間、FRBは一切何もしないと言っている。
このFRBの対応も異例で、今のマーケットは異例続き。

では、何を頼りに株を買っていけばいい?

  1. 米国債10年利回りは1.6%ぐらいなので、まだ低金利である。
    今後もこの低金利は続くと思う。
  2. 企業業績はめちゃくちゃ良い。

金利が低くて業績が良いなら株は買いである。

株はマルチプル・エクスパンジョンが起きている時に買うもの。
マルチプル・コントラクションが起きている時に買うものではない。

典型的なマルチプル・コントラクションが起きていたのは、1990年代の東京市場。
10年以上にわたってマルチプル・コントラクションが起きていた。
そんなマーケットで株を買っても儲からなかった。

だから、マルチプル・コントラクションが起きている時に株を買うことの業の深さ(欲深さ)についてしっかりと考えるべき。
相場は決して甘くない。こういう局面では無理をしてはいけない。

だけれども、しばらく経てばすべてがまた落ち着いて巡航速度に戻っていく。
その時に、広瀬さんがイメージしている巡航速度というのは、過去3年ぐらいの相場の流れ。
例えば、SaaS銘柄(ズームとかクラウドストライク)が大相場をつけたが、あれの延長になると思う、もう一回。
だから、今はバリューとグロースのどちらに舵を切ろうとしているかというとグロース。
それに加えて、ヘルスケア株(医薬品)や消費安定株(食品)も良いと思っている。

ブラックスカイ($SFTW)のダウンサイドがほとんどないが?

確かにSPACを買うときは、10ドル以下にはならないのでダウンサイドはほとんどないと言える。
しかし、それは株主投票が終わり、ティッカーシンボルが変わるまでの話。

ティッカーシンボルが変わった時点で10ドル以下になることは全然あり得る。
今はそういうことも考えておかないといけない局面。

なぜズームが勝ったのか?

それはネットワーク効果。
つまり、使っている人が一番多かった。

マイクロソフトのTeamsも良いが、気をつけないといけないことは、Teamsはマイクロソフトというプラットフォームで色が付いてしまっている。

ビデオ通話ソフトとかオクタみたいなアイデンティティ・クラウドというのは、すべてのプラットフォームに対して中立であるべき。
そういう面ではマイクロソフトは弱い。
いわゆるMacワールドとの絡みでいうと、ベストではない。

ドリブンブランズの決算が良くなかったが、ホールドしました。

広瀬さんは、最初からズッコケる会社は良くないと考えている。
一度失敗すると、それがクセになって2度も3度もやるので気を付けた方が良いと思う。

株価は下げてきているが、広瀬さんならパスする。

各国間のワクチン接種状況の差について

今、広瀬さんが心の中で整理されていないことで重要だと感じていること、それは、各国間のワクチン接種の格差。

アメリカでは国民の25%が少なくとも1回の接種を受けている。
しかし、EUでは8.9%ぐらい、日本はそれよりもはるかに遅れている。

例えば、アジアでワクチン接種が進んでいないのは、死者があまり出ていないから、ワクチンに対する渇望感がないからというのは、その通りだと思う。
でも、ワクチンを打たないと景気再開したって不安を完全に拭い去ることはできない。
「景気は気から」というが、消費者の気分一発。
みんながマスクをしている間は、景気はカーっと戻ってこないと思う。

日本を見ていて思うのは、落ち込みもマイルド、死者数もマイルドだが、リカバリーもマイルドになるのではないかと思う。
はっきり言って、日本のリカバリーはエキサイティングにはならないと思う。
ヨーロッパもそうなるかもしれない。

そうすると、アメリカだけが好景気になるかもしれない。
その時に、世界の資本がどういう動きをするのかに関しては、すごく注意を払わないといけない。

今、米国債が売られていて、入札も元気がない。
だけど、今後は日本勢がガンガン米国債を買うかもしれない。
まだわからないが。
少なくとも日米の金利差は、為替ヘッジのコスト込みで計算しても、米国10年債を買えば1.4%ぐらいの利回りの得がある。
これは魅力である。

そんなこんなで、これからの相場は難しくなると思う。
そして、グローバルな視点がないと見誤ると思う。

マルチプル・コントラクションの中でハイパーグロース株を持ってて良いのか?

永久にマルチプル・コントラクションの状況が続くかというのはまだわからない。

今日、広瀬さんが言いたかったことは、今すべてのことがものすごい速さで起きているということ。

例えば、去年新型コロナで景気がつるべ落としにすとーんと悪くなった。
一瞬のうちに、アメリカの失業率が14%にまで跳ね上がった。
そして、今、一瞬のうちに14%にまで上がった失業率が6.2%にまで下がってきている。
前回、リーマンショックの時は、10%の失業率が6.2%になるまでに4年の歳月を要している。
今回は一年足らずで14%から6.2%にまで失業率が下がっている。
だから、今回の悪化のペースも爆速だったし、そこから切りかえして改善のペースも爆速だった。
そうであれば、巡航速度に戻るのも爆速だと考えるべきだと思う。
そうすると、マルチプル・コントラクションの期間も爆速で、短いかもしれない。

GAFAM

GAFAMはどれも休養十分で、割安感が強くなっている。
だから、ドキュサインやズーム、オクタも好きだが、それに加えてGAFAMも今は好き。

未来がどこにあるかというと、未来はフリーポート・マクモラン($FCX)やスターバルク($SBLK)ではない。
未来はネット系の株だと思う。あるいは、製薬株、ファイザー($PFE)やブリストルマイヤーズ($BMY)などの一回もおもちゃにされていない、手あかのついていないストーリーだと思う。
あとは、アンセム($ANTM)とかCVSとかも良い。

モデルナ($MR)やバイオンテック($BNTX)を買ったが。

そこらへんは買いだと思う。ファイザーも買いだと思う。

ブランドイメージの話をすれば、今回のワクチンで、モデルナやファイザーのブランドはイメージアップした。
EVはテスラ、スマホはiPhone、ワクチンはファイザーというようなレベルで、神格化されている。
だから、今ではないが、どこかでファイザーは大相場が来ると思っている。

ファイザーの長期のチャートを見れば、1999年の高値を今まで超えられずにいる。
すごい長い期間にわたって休養している。
1999年のファイザーのPERは30倍ぐらいだった、今は16倍ぐらいになっている。
だからPERは約半分になっていて、非常に割安だと思う。

新興国株には触らない方が良いか?

一番重要なことはドル。
ドル高になれば、資金が新興国から抜けるので気をつけなければならない。
ドル円でいうとそれほどドル高ではない。

リスクとしては、冒頭で話した通り、アメリカ経済だけが抜きんでて経済成長が高くなると思うので、それがドル高を誘発する可能性がある。
その場合は、新興国株式は苦しいかもしれない。
だから、半身で考えている。

海外需要と関係しないリア充銘柄は?

MGMリゾーツ($MGM)。
ほんの少しだけ、マカオにカジノがあるが、売上の大部分はラスベガスと全米の田舎。

セントジョー($JOE)。
フロリダの土地をたくさん持っていて、リゾート開発でホテル建てたり、コンドミニアムを作っていたりする。
この会社のターゲットは、アラバマ州からの海水浴客。